青森飲酒事故

2018年10月24日 07時00分

 テレビで刑事ドラマを見ているとよくこんなシーンが出てくる。捜査員が殺人を犯した男に事情聴取するのだが、証拠がそろっていないため追い詰めることができない。それを知ってか男は余裕の表情でこううそぶく。「俺が犯人だって言うなら証拠を持ってこい」

 ▼そのうち男には〝優秀な〟弁護士がつき、関係者の口裏を合わせるよう工作もする。刑事たちは地道な捜査で、そんな男のうそを一つ一つ暴いていく。ドラマなら最後に犯人を追い詰めるが、現実はそう簡単にいかない。青森県警は本件でそれに全力を尽くしたようだ。先月つがる市の国道で飲酒運転した上、4人もの人を死亡させる交通事故を起こした団体職員高杉祐弥容疑者を22日、逮捕したのである。高杉容疑者は危険運転致死傷容疑を否認していた

 ▼県警は容疑を固めるため慎重に捜査を進めたらしい。事故から1カ月かかったがついに、容疑者が50㌔制限の区間を130㌔で暴走していた事実を突き止めたのである。執念を実らせたのだ。この事故では猛烈な速度で追突された軽乗用の夫婦と対向車線にいて巻き込まれた代行運転手、客の女性が亡くなっている。ところが容疑者は飲酒を認めたものの、「運転は正常にできていた」とその影響は否定していたのだ

 ▼ばかな話である。酒を飲んで公道暴走など殺人と同じでないか。ただ現実には「正常」の論拠を崩せず刑の軽い過失にとどまることも多い。飲酒に甘い法律といわれるゆえんである。今回は県警が容疑者のうそを暴いたが、本来はごね得を許さない法運用こそ大事だろう。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • web企画
  • オノデラ
  • 川崎建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,623)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,449)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,102)
おとなの養生訓 第170回「昼間のお酒」 酔いやす...
2019年10月25日 (965)
おとなの養生訓 第109回「うろ」 ホタテの〝肝臓...
2017年03月24日 (710)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。