興部町は、バイオガスの新たな活用に向けた施設整備を計画している。家畜ふん尿から得られるバイオガスを原料に、メタノールと家畜飼料となるギ酸を製造するため、プラント整備や発酵槽増設などに取り組む。現在、道のエネルギー地産地消事業化モデル支援事業に申請中で、採択されれば12月ごろに設計を指名競争で入札し、2020年度の着工、21年度の完成を目指す。総事業費は約5億円と試算している。
同町は、14年度にバイオマス産業都市構想を策定しており、町営の興部北興バイオガスプラント[MAP↗]など3基のプラントが整備された。現在は、固定価格買い取り制度(FIT)による売電事業を展開している。
しかしその一方で、地域の送電容量などが課題となっていることから、町は売電事業以外のバイオガスの新たな活用方法を模索。6月には大阪大とバイオガスからメタノールを製造する技術開発と実用化検討を共同で開始した。
計画では、興部北興バイオガスプラントでのメタノールプラント整備、バイオガスを増産するための発酵槽(200頭分)増設、熱利用に向けたバイオガスボイラ1基の設置などを構想。メタノールプラントの生産規模などは、大阪大との研究や設計の中で決定する。
製造したメタノールは、非常用電源の燃料電池や、電気自動車のEV充電ステーションなどでの利用を想定。この計画が成功すれば、現在凍結している秋里地区のバイオガスプラント建設なども進めていきたい考え。
17日の第3回定例町議会では、設計費約2600万円を先行して盛り込んだ一般会計補正予算案が可決されている。
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