種苗法改正案成立

2020年06月13日 09時00分

 絶妙な力加減で正確に放たれるショットや、追い込まれてからの鮮やかな逆転劇―。2018年平昌冬季五輪でのカーリング日本女子チーム「ロコ・ソラーレ(LS)」の活躍はまだ記憶に新しい

 ▼息詰まるプレーはもちろん、ハーフタイムにおやつを頬張る「もぐもぐタイム」も話題になった。特に注目を集めたのは地元北見の銘菓「赤いサイロ」とイチゴだろう。白いユニホームに、真っ赤なイチゴがよく映えた。このイチゴは韓国産で、大ぶりな上に甘さも素晴らしかったようだ。感想を聞かれた選手たちが絶賛していたのを覚えている人もいよう。ところがこのイチゴ、日本から流出した品種が韓国で無断に栽培されたものだったらしい。当時も農林水産省が問題視していた

 ▼日本国内で長い時間とお金をかけて開発された品種が韓国や中国に持ち出され、流通している例が実は多いのである。この状況を改善するための切り札となる種苗法改正案の今国会成立を、政府・与党が見送ることに決めたという。有名女優がSNSで表明した反対の意思に一部野党も便乗。世間で懸念の声が広がった。「特定の企業を利する」「農業者の負担が増す」が反対の理由だが、誤解である

 ▼たとえば「ドラえもん」のアイデアが他国に持ち出され、そちら発の漫画として簡単に大きな利益を上げられるとしたらどうか。種苗には現在、そうした開発者の権利を守る手立てがない。改正案はその不利を解消するものだ。あの五輪のとき新種苗法があれば、LSの選手たちが食べたのは「日本産」イチゴだったのである。


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