27日から一般公開 最新デジタル技術で自然の迫力発信
環境省北海道地方環境事務所支笏洞爺国立公園管理事務所は、支笏湖ビジターセンター[MAP↗]にデジタル展示を整備した。27日の一般公開に先駆け、報道・地元関係者向け内覧会を24日に開催。VRでカヌーの疑似体験ができるほか、樽前山の火口など普段は見られない景色を見ることも可能にした。最新技術で自然の迫力を発信し、利用者増加や満足度の向上を図る。
施設整備は2019年度に実施した。ことし4月の公開予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて延期。感染防止対策を施し、27日から一般公開する。
訪日外国人を含めた公園利用者の滞在時間延長、リピーターの増加が狙い。事業費は3800万円で、国際観光旅客税を活用した。
展示内容を見ると、レクチャールームに200インチの画面を設置し、展示室には映像の拡大、縮小ができるタッチパネルを3台設けた。また、より臨場感を味わえるようゴーグルを用意している。これらの設備で見られるVR映像は全て同じ内容で、高精度の360度カメラで撮影した。
映像は、支笏湖をヘリコプターとドローンを用いて撮った「鳥瞰(ちょうかん)!支笏湖スカイウォーク」、カヌー・カヤック、恵庭岳や樽前山のトレッキングなどを疑似体験できるアクティビティ関連、立ち入り規制されている緑の回廊や苔(こけ)の洞門、樽前山溶岩ドーム、オコタンペ湖を楽しむことができる。このほか、支笏湖の四季の移ろいを見られる「絶景!支笏湖満喫ガイド」も提供する。
9つの映像はいずれも5分程度。角度を変えることが可能で、実際にその場にいるような感覚を味わえる。訪日外国人にも対応するため、英語や韓国語、タイ語など6言語で音声を流せるようにした。
映像とは別に、立体ホログラムの機器も1台設置。こちらではヒメマスの生活史を3D映像で学ぶことができる。
同管理事務所の千田智基所長は「全国に先駆けてデジタル展示を整備した。新型コロナウイルス感染症で減った利用者が再び訪れるきっかけとなり、支笏湖地域の活性化にもつながってほしい」と話した。
(北海道建設新聞2020年6月26日付16面より)