現場の疲弊

2020年12月18日 09時00分

 岩見沢を中心とする空知地域に降り続く雪の影響で、JR函館本線のダイヤが連日乱れに乱れている。5分、10分程度の遅れはもはや当たり前。運休になる列車も多い。利用者から聞こえてくるのは、「毎年のことながらJRは全くよく止まるね」との嘆きの声だ

 ▼「除雪が追い付かない」「車両が凍結した」「線路の安全が確認できない」。駅の構内で、駅員の運行状況説明と遅延おわびのアナウンスが延々と続く。日本のダイヤは緻密に作られているため、どこかでほころびが生じると広範囲に波及しやすい。構造に遊びの部分がない物は壊れやすいのと同じである。ただ、人も金も足りない中でこれくらいの乱れにとどめているのだから、現場はかなり頑張っているのだろう

 ▼病院もそれと似たところがあるのでないか。安定経営の維持と業務の効率化をとことん追求した結果、医師や看護師は過密スケジュールでの仕事を余儀なくされてきた。そこに降りかかったのが新型コロナウイルスという大雪である。これまでも余裕などなかったのだろう。それでも回してこれたのは医師や看護師が誇りと使命感を持って現場を支えていたから。ずっと綱渡りをしていたのである

 ▼病床数も医療従事者数も先進国で上位なのに、欧米より桁違いに少ない感染者数で医療崩壊を起こすのにはそれなりの理由があったのだ。ダイヤが多少乱れても人の命に関わることはそうそうないが病院は違う。今回のような事態が起きたときにも余裕を持って対応できる態勢がいる。現場の頑張りに期待するだけでいいわけがない。


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