政治の三角術

2020年12月23日 09時00分

 金は天下の回り物というが、〝自分の所にだけはちっとも回ってこない〟と割り切れぬ思いを抱いている人も結構多いのでないか。金はつくるのも使うのもなかなか難しいものである

 ▼夏目漱石も小説『吾輩は猫である』で、主人にこんなことを語らせていた。「金を作るのにも三角術を使わなくちゃいけないと言うのさ――義理をかく、人情をかく、恥をかくこれで三角になるそうだ面白いじゃないかアハハハハ」。とある実業家から聞いた金もうけの秘訣(ひけつ)だそうだ。まともな神経をしていては一財産など築けるものではないとの皮肉である。真面目で金に苦労した漱石が主人の口を借りて語ったものだろう。ところで近頃、政治方面では別の三角術がよく使われているのを目にする

 ▼誠実さをかく、道理をかく、順法精神をかく―の「三かく」である。まず吉川貴盛元農水相。大手鶏卵生産会社の元代表からの現金受領疑惑が浮上し議員辞職を表明したが、国民に何の説明もないのは誠実さに欠ける。次に安倍晋三後援会の代表を務める安倍氏の公設第1秘書。「桜を見る会」前夜祭の会費不足分を補填しているのに政治資金収支報告書には記載しなかった。道理を欠く対応というほかない

 ▼昨年の参院選広島選挙区で当選を確実にするため、有力者に金をばらまいた河井案里議員と夫の克行元法相の順法精神を欠く行為はいわずもがな。いずれも自民党なのが気になるところだ。政権与党に安住して少々緩みが出ているのかもしれない。それともまともな神経では政治などできないということか。


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