屋根から落ちるのは雪だけに 墜転落対策グッズを見る

2020年12月25日 10時00分

ヘルメットやフルハーネス、声掛け、滑り止めなど効果

積雪が多いこれからの時期は雪の事故に注意したい

 積雪が増えるこれからの時期は、屋根の雪下ろし中の墜転落事故に注意したい。毎年、道内外で痛ましい事故が起きていて、アンカーの設置やフルハーネス型の墜落制止用器具の着用が求められている。最近の対策グッズをあれこれ見る。

 道警によると、道内の2019年11月から20年3月までの雪による事故者数は24人で、うち死者は4人だった。少雪が影響し、例年よりも大幅に減少した。過去5シーズンで最も多かったのは17年で事故者126人、死者22人だった。

 対策として、ヘルメットの着用や墜落制止用器具の装着を呼び掛けている。複数人で声を掛け合いながら作業したり、靴やはしごに滑り止めを付けることも有効と説いている。

 藤井電工(本社・兵庫県加東市)は、太陽光パネルの取り付けなど屋根上作業用に「ヤネロップ」を用意する。うち巻き取り式のYU―400シリーズは広範囲に移動でき、常にベルトが最短で作業者に追従するため、邪魔にならない。墜転落時はロック機構が働き、最短距離で落下を止める。

 ロープ式のYU―300は、フック金具にカラビナで親ロープを取り付け、フルハーネスなど墜落制止用器具と接続して使う。親ロープの長さは伸縮調節器で任意に調節可能で、違和感なく作業できる。

 屋根に上らず作業するのが最大の墜転落防止策だ。いぐち家(岐阜県中津川市)の「らくらく雪すべーる」は、長いポールを使って屋根下から雪を下ろす便利道具。本体ヘッドを屋根に乗せ、傾斜に対して平行に押すだけで雪下ろし可能だ。ヘッド部には雪を2つに割るスライサーが付き、180cmほどのシートも付いているので効率よく雪を滑り落とすことができる。価格は2万1780円(税込み)。

 KFアテイン(本社・仙台)の「陸王」は、滑雪性に優れた屋根用塗料。1液タイプのシリコン系塗料で、塗ると雪が積もりづらくなるため、雪下ろし作業をしないで済む。パラフィンワックスを主剤に、はっ水性と滑り性を融合させた。摩擦抵抗が低く、屋根から雪が滑り落ちても塗膜が傷みにくい長所もある。

 自衛策としては雪に対する正しい知識を身につけることも重要だ。国土交通省は、地域の共助による除排雪体制を徹底するため、克雪体制づくりアドバイザー派遣制度を設けている。道内では18年度の制度創設から、苫前町や上富良野町がアドバイザーから適切な助言を受けた。20年度の道内アドバイザーは北総研の堤拓哉主幹など5人が委嘱されている。

(北海道建設新聞2020年12月24日付3面より)


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