中央リニア談合事件

2020年12月25日 09時00分

 誰もが納得する公平な裁判を「大岡裁き」というが、その呼称の由来となった江戸時代の名奉行大岡越前守忠相の青少年期は決して順風満帆なものではなかったらしい

 ▼生家では第4子だったため9歳のとき他家に養子へ出され、実兄は事件を起こし八丈島に流罪、一族の一人は番頭を殺害し自害している。いわば世の中の暗部を見ながら育ったわけだ。町奉行での名裁きにはそんな経験も生かされているに違いない。だからこそこんな言葉が出てきたのだろう。「下情に通じざれば裁きは曲がる」。民の実情も知らず、お上の威光を振りかざすだけでは正しい裁きができないというのである。現代にも通じる部分がありそうだ

 ▼リニア中央新幹線新設工事の談合事件を巡り公正取引委員会が22日、独占禁止法違反で大林組と清水建設の2社に計約43億円の課徴金納付命令を出した。大成建設と鹿島建設を加えた4社には排除措置命令も出している。この一連の命令がふに落ちないと思っている人は多いのでないか。公取委は大手ゼネコン4社が談合で競争を制限したと断罪している。ただ中央リニアは新たな技術開発が幾つも必要な上、工事難易度も相当に高い。そのため各社とも発注前からJR東海と綿密な打ち合わせをしてきた

 ▼入札はしたが結局、安全かつ確実に施工できる会社が落札したのだろう。公取委はそんな実情を知ってか知らずか。法を厳格に運用したといえばそれまでだが、ゼネコンの技術力をただで使うのを認め、事業も妨げるとしたら、やはり何かが曲がっているように思えてならない。


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