買収事件一律不起訴

2021年07月09日 09時00分

 いつのころからか警察が自転車泥棒の取り締まりを強めるようになった。警官が道端で自転車に乗っている人を止め、本人の物かどうか確認する光景が日常化して久しい

 ▼盗難捜査は本来、被害届が出てから始まるものだが、自転車泥棒に関しては犯人検挙とは別の目的もあるのだという。気軽に盗んで罪を罪とも思わなくなると、さらに悪質な犯行に走る例が多い。早い段階で、それに歯止めをかけようというのだ。軽い気持ちでも出来心でも犯罪であれば一定の制裁を科される。社会秩序を維持するためにはゆるがせにできない約束事だろう。ところでこちらの決定は、そんな大事な共通認識に反してはいないか

 ▼2019年7月の参院選を巡る買収事件で有罪となった河井克行元法相側から、当時現金を受け取った地元政治家ら100人全員を東京地検特捜部が不起訴にしたのである。河井被告が主導した事件で、河井側が一方的に現金を渡しただけだからなのだという。受け取った事実は変わらないのだが。過去にはもっと小さな選挙違反事件で、1万円程度の現金を受け取って起訴された例もある。河井事件では最も多い人で300万円、少ない人でも10万円はポケットに入れていたらしい。自転車どころか車が買える人までいそうである

 ▼蜜に群がる虫のごとく、選挙となると金に寄ってくる政治家や有権者が絶えない。これが全くのおとがめなしなら、〝とりあえず受け取っても後で何とでも言い訳ができる〟と勘違いする者がまた現れても不思議はない。一律不起訴は歯止めを壊すようなものだ。


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