大人2人で15分 組み立て式の和室を共同開発

2021年08月19日 16時00分

ポストコロナ時代の新しい空間創造 北大大学院研究グループなど3社

 北大大学院工学研究院の小沢丈夫教授ら研究グループは、大人2人で15分ほどあれば組み立てられる和室「くみたて2020」を内田洋行、海野建設(本社・宮崎県日向市)と共同開発した。大きさは2畳ほどで、コミュニケーション空間として自治体の公共施設や企業の共有スペースなどに導入してもらいたい考え。コロナ禍で苦境に立たされる観光業や飲食業向けに、顧客満足を高めるための差別化ツールとしても活用を見込む。

産学連携プロジェクトで完成した「くみたて2020」

 柱や梁など基本フレームと畳、軒によるシンプルな構成で、部品数は約60点。障子戸や板戸、床の間、縁側など建具パネルを好みで合わせることができる。床部は軸組工法で、柱や梁の接合部は引っ掛け式の金物を使う。軒パネルは六角レンチを手で締めて取り付け、専用工具が不要なのが特長だ。

大人2人15分ほどで組み立てられる

 地場産木材の利用拡大を目指し、北大建築デザイン学研究室(旧建築史意匠学研究室)が2013年に企画。木製パレットをヒントにした災害避難住宅など、国産木材を使った製品開発に強みのある海野建設と共同で15年にコンセプトモデルを考案した。その後、内田洋行の協力を受け、イベントなどで使用実績を重ねてきた。

 くみたて2020は、コンセプトモデルに無かった本体同士の連結と建具パネルの小型・軽量化を実現。市場投入に向けて内田洋行が仕様や安全、品質、供給面で支援した。発売は9月を予定し、価格は85万円(税抜き)。

 北大大学院の瀬戸口剛工学研究院長は「地球環境の持続・保全に意義のある製品。森林資源をうまく使うことで、地域産業の活性化につながれば」と話す。海野建設の海野洋光社長は「建具職人や大工の安定的な仕事につながる製品。今後も進化し、世界中で使われれば」と期待を寄せる。

 木質空間の温かみや匂い、感触の特長を生かし、学校をはじめ企業、自治体などに採用してもらいたい考え。ポストコロナ時代の新しい空間創造として訴求する。内田洋行の小柳諭司取締役上席執行役員は「コミュニケーションの取りづらい時代こそ意味のある製品」と自信をみせる。


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