企業向けにだしやたれなどを製造販売するアイビック食品(本社・札幌)は、食のDX拠点「北海道みらいキッチンGOKAN」を苗穂町の本社にオープンした。226m²の空間に大型デジタルサイネージや香り発生装置など人間の五感を刺激するさまざまな最新設備をそろえ、食の情報発信や商品開発を支援。食に関わる人や企業のハブとなる施設を目指す。
商品開発やマーケティング、イベントや料理教室などの用途を想定する。まずは顧客や関連企業に活用してもらい、いずれは一般客へ拡大したい考えだ。年内は利用を無償とする。
セントラルキッチンとオープンキッチンの調理場2カ所を備える。調理風景をスマートフォンなどで撮りリアルタイムでサイネージに映し出せるため、料理教室やイベントで便利だ。衛生面を考慮して非接触型の蛇口やごみ箱を導入した。
壁沿いの棚には自社や他社の商品や、自社が扱う容器などを数多く陳列。外見や大きさをその場で確かめられるようにして、スムーズな商品開発を促す狙いがある。
視覚が食に与える影響を検証できるように、壁4面に風景映像などを投影できるプロジェクションマッピングや、色や強さをアプリで自由に調節できる照明を取り入れた。嗅覚からの刺激を気軽に試せるように香り噴射装置も置く。野菜炒めや焼き魚など自社開発の香りを用意した。
オープンに合わせて仮想現実(VR)や拡張現実(AR)も作成。VRゴーグルを付けるとGOKANやアウトドアショップの内部などを立体的に体験できる。商品アイコンをタップすると価格など詳しい情報を見られる。ARでは、商品のパッケージを読み取るとプロデュース店舗の360度写真が見られる仕組みなどを開発した。
撮影スタジオもあり、作った料理をすぐに撮って動画配信やレシピ集に活用できる。
牧野克彦社長は「関心を持つ人や企業にどんどん使ってほしい。私たちも試行錯誤しながらノウハウを積み上げたい」と意気込む。数十社が見学に訪れ、2日間貸し切りたいとの話も出ているという。ユーチューブの公式チャンネルでは紹介動画を配信中だ。
(北海道建設新聞2021年9月8日付3面より)