脱炭素化への世界的潮流受け
次期北海道総合開発計画の策定予定が2023年度に1年前倒しとなり、検討がスタートした。新型コロナウイルス感染症の影響長期化、2050年カーボンニュートラル(CN)の実現に向けた世界の潮流変化などを受け、本道開発を巡る情勢が変わり始めた。この機を逃すことなく、国土交通省は策定作業のため計画部会を新たに設置。本道の維持発展に欠かせない要素を盛り込み、世界に通用するブランドを堅守する姿勢だ。
道総合開発計画は、北海道開発法に基づき国が策定。本道の地域発展と、本道の資源・特性を生かした国難への貢献を図る。
次期計画を前倒しして策定するのは、過去では第3期道総合開発計画(1971-80年度)から第4期計画(78-87年度)、第7期計画(08-17年度)から第8期計画(16-25年度)になった時の2度あった。
第4期計画への移行は、第1次石油危機で社会、経済情勢が大きく変化したため。第8期策定時は、急激に進む人口減少や政府が進める国土強靱化、地方創生などの政策が叫ばれ、これらを新計画に反映するための前倒しだった。
10月14日に開いた国土審議会第25回北海道開発分科会で北海道局は、直近の国、本道開発を巡る情勢について説明。新型コロナの影響では、人口の東京一極集中の傾向が緩和され、地方移住に興味を持つ東京23区在住の若者が増加するなど、人流の変化に触れた。
また、近年の気候変動による影響を解説。本道の1次産業では米など農作物への被害が予測されていて、降水日数の変化が渇水、融雪時期に変化を与え、水運用が課題になるとの見通しを発表している。
これらを含むさまざまな情勢変化を踏まえ、次期計画を23年度をめどに、新たな国土形成計画と時期を合わせて策定することにした。
本道の人口減少は、他都府県に比べ10年先行して進んでいると言われる。面積が広大な本道地方部の過疎化は避けがたいが、地方部にこそ本道の魅力となる食と観光が点在している。
新型コロナの影響で、それまで好調に推移していた外国人観光客は激減。地方部を守るための施策展開が急務だ。開発局は15日にウィズコロナ・アフターコロナを見据えたドライブ観光促進を目指し、プラットフォームによる協議を続けるなどして対策を探った。
道内の生産空間をつなぐハード対策、インフラ整備も課題だ。CNが求められる今、二酸化炭素を抑制する公共事業の展開に期待が高まっている。
再生可能エネルギーの拠点としても、本道はポテンシャルが高いとの指摘もある。こうした多くの対応すべき課題への施策が、新計画に求められている。(おわり)
(北海道建設新聞2021年12月20日付1面より)