宅地造成等規制法改正案閣議決定

2022年03月02日 09時00分

 山登りをする人なら雪崩の怖さを知っていよう。当方も学生時代、雪山登山の前に部の先輩からまず教えられたのがその知識だった
 
 ▼軽くて柔らかい雪に巻き込まれたって大丈夫だろう、雪崩が起きたら逃げればいい―。北国の生まれで雪との付き合いが長い人でも、そう考えていることが少なくない。ところが雪崩は時に新幹線並みの速さで滑り落ち、埋もれるとコンクリートで固められたように身動きが取れない。新たに降った雪だけが動く表層雪崩と、積もった雪が底面から根こそぎ流れる全層雪崩があり、全層の方が大きな災害につながりやすい。国内外で村をほぼ壊滅させた事例もあるくらいである。雪崩を止める手立てはないため、安全を確保するには危険な箇所を避けるほかない

 ▼雪ではないが、そんな「全層雪崩」のような状態がつくられたのが昨年7月の熱海市土石流災害だった。伊豆山地区の住宅街を流れる逢初川源頭部に置かれた膨大な盛り土が底面から丸ごと流れ、人々を襲ったのである。事態を重く見た政府がきのう、違法な盛り土を厳罰化する宅地造成等規制法の改正案を閣議決定した。可及的速やかに問題を引き出しの奥にしまい込みがちな国としては異例の速さである

 ▼都道府県知事の許可制で規制は全国一律。違反した個人には3年以下の懲役か1000万円以下の罰金、法人には3億円以下の罰金を科すという。規制の緩い地域での違法な盛り土に歯止めを掛ける狙いだ。惨事への想像力の欠如も違法が横行する原因だろう。業者には法律と同時に知識も学んでもらいたい。


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