敵基地反撃能力保有

2022年12月07日 09時00分

 進化の末にたどり着いた動物の形態には驚かされるものが多い。ハリネズミなどもその典型例の一つである。どんな自然淘汰(とうた)を経たら、敵に襲われたときには毛を針にして身を守る不思議な能力を獲得できるのか

 ▼そのかわいらしい風貌から近年はペットとしても人気だそうだが、元来は敏感で臆病な性格。なつくまでは毛を針にして身を守ろうとし、飼い主にしばしば痛い思いをさせることもあるようだ。ただ、年配の方々がハリネズミと聞いてすぐ思い浮かべるのは、ペットでなく「ハリネズミ防衛論」の方だろう。専守防衛を国是とする日本の立場を説明するため、1970年代からしばらく盛んに使われた言葉である。最近ではほとんど耳にすることもなくなった

 ▼今度はいよいよ実態としても、ハリネズミにはご退席願う形になりそうだ。自民、公明両党が2日、実務者協議を開き、国家安全保障戦略に敵ミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」の保有を盛り込む方針で合意したのである。専守防衛は維持しながらも、日本への攻撃が確実に実行されると分かった場合は先手を打つ。軍事的混迷が深まる世界では、針を立てて丸まっているだけでは自国を守れないというわけだ。隣にバナナのたたき売りさながら、ミサイルを乱発射する国がいてはなおさらである

 ▼岸田首相は2027年度に、防衛費を国内総生産(GDP)比2%とする方針も固めたという。ようやく世界標準に近付く。いきなりトラになる必要はないが、激動する世界に合わせて進化しなければ淘汰は避けられない。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • オノデラ
  • web企画
  • 川崎建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,643)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,446)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,112)
おとなの養生訓 第170回「昼間のお酒」 酔いやす...
2019年10月25日 (997)
おとなの養生訓 第109回「うろ」 ホタテの〝肝臓...
2017年03月24日 (718)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。