▼プロ野球やサッカーなど応援しているチームのここ一番、勝負が懸かった試合は見ないようにしている、という人がいるようだ。「自分が見ているとなぜか負けるような気がするから」がその理由である。ただの気のせいなのだが、例えば自分がうっかり試合を見たせいで北海道日本ハムファイターズが負けたとなれば、責任を感じないわけにはいかないらしい。つまりは悪縁を断つための縁起担ぎである。
▼つい先日のこと。台風7号の本道上陸を機に小欄で、「ことしは台風の襲来も随分と少ないようだ」と書いたら、ここぞとばかりに1週間で3つの台風が連続して押し寄せてきた。いらぬことを書いて天の帳尻合わせを招いたかと心中穏やかでない。7号、11号、9号と1年に3つもの本道上陸は、1951年の統計開始以来例がないという。いずれも雨台風だったため網走・北見・紋別や釧路・根室地方などでは、軒並み観測史上最大の降雨量を記録。深川では石狩川まで氾濫した。
▼各地で建設業者が全力を発揮して災害対応に当たっている。堤防流失や道路法面崩壊、路肩決壊などが相次いでいるためだ。応急復旧に、被害拡大防止に、地域の安全点検にと、昼夜を分かたぬ奮闘ぶり。インフラの町医者として果たさねばならぬ役目とはいえ、危険と隣り合わせの仕事である。けがなどないよう十分注意されたい。「日本を打ちてし止まぬ台風禍」(村岸明子)。日本中が台風に悩まされている。ことしは少ないなどと言わぬから、ほどほどにしてご通過願いたい。