霞が関文学

2019年02月28日 09時00分

 世に文学と呼ばれるものは数多くある。その中で一般の人の目には触れず、賞の候補にもならないものの社会への影響力は無視できない「作品」があるのをご存じだろうか。いわゆる「霞が関文学」である

 ▼官僚が法案や公文書を作成する際に駆使する奇妙な文章技術をやゆしたものだ。「てにをは」を活用して微妙に意味をずらしてみたり、言質を取られて批判を受けないよう肝心要の部分をわざとぼかしたりする。よく知られるのが「完全民営化」と「完全に民営化」の違い。「に」が間に挟まることで完全の度合いが薄まるのだとか。他には「第三者委員会等で検討」の「等」。この一文字が入るだけで、検討の場は何でもありになるそうだ。理解に苦しむが常識だという

 ▼ところでこれまでは曲がりなりにも事実に即していた霞が関文学だが、最近はとうとうフィクションにまで手を出すようになったらしい。総務省の担当職員が西村清彦統計委員長の国会欠席の理由を創作し、野党に示していたのである。野党は26日の衆院総務委員会に西村氏の出席を求めていたが、同省は西村氏の言として「委員長は非常勤でアルバイト公務員のため本務に支障をきたす形では協力できない」旨の文書を出していた

 ▼これが何と作り話。騒動を知った当の西村氏が「支障がない限り国会には協力する」と文書を否定したのである。石田総務相もおととい、誤りを認め国会で謝罪した。思い上がりなのか、事なかれ主義の成れの果てなのか。こんなずさんな出来では霞が関文学とさえ呼べまい。霞が関三文小説だろう。


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