ノーベル化学賞に吉野彰氏

2019年10月11日 09時00分

 日本代表の連勝で連日盛り上がりを見せているラグビー・ワールドカップ日本大会だが、ルールに関しては今回初めて知った人も多いのでないか

 ▼誰もが最初に覚えるのはたぶん、前にボールを放ってはいけないというルールだろう。前へのパスはもちろん、落とすのも反則だ。キックで一気に進む戦術もあるが確実性には欠ける。選手たちは基本、後ろに展開する仲間に次々とパスを渡しながら地道に前進していく。トライを決めるのは一人でも、後ろにはそれを支える多くの人がいるわけである。ノーベル賞も同じに違いない。ことしの化学賞がリチウムイオン電池を開発した旭化成名誉フェローの吉野彰氏に贈られると決まった。吉野氏も家族や会社、同じ志を持つ研究者に支えられてここまできたようだ

 ▼今回は電池の基本構造とプラス電極を考案した米国の教授2人と共に受賞している。吉野氏は1985年にマイナス電極の素材として特殊な炭素材料が有効なことを発見し、商品化と普及に道を開いた。その結果がモバイルICT時代の到来である。持ち歩けるパソコンやスマホは、生活や仕事の在り方を変えてきた。今後も電気自動車や再生可能エネルギーの蓄電にと、応用領域の拡大は続く

 ▼これで日本人の受賞者は27人。24人が科学分野だ。08年以降はほぼ毎年である。吉野氏はサラリーマン研究者。日本の科学、産業界のすそ野が広いからこその快挙だろう。ただ、受賞者が皆指摘するように、政府の科学分野へのてこ入れは弱い。後ろに広がるウイングがボロボロになる前に手を打たねば。


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