気候変動による十勝川のリスク変化
北海道開発局と道は18日、札幌第1合同庁舎で北海道地方における気候変動を踏まえた治水対策技術検討会を開いた。十勝川でのリスク変化では、気温が4度上昇した際に洪水による年平均想定死者数が約6・4倍に増加すると試算。当面の適応策として洪水を防ぐ河道掘削は2度上昇時の外力に対し、現在の河川整備計画の目標と同程度の安全度を確保できるようにする考えを示した。
2016年に甚大な被害を受けた十勝川と常呂川を対象に、気象予測アンサンブルデータを活用し、気候変動を踏まえた対策を検討している。2回目となる今回は、十勝川の適応策を議論した。
気温が4度上昇した際のリスク変化では、洪水による最大想定死者数が約2・6倍に増加すると試算。浸水の可能性がある病院数は約1・6倍で、多くの役場が浸水し、年平均想定被害額は約5・1倍になる。下流部を中心に農地の浸水確率が相当高くなるとした。
2度上昇した場合の当面の適応策で、社会的リスクが高い地域と考えられる3エリアのメニュー案を提示。中流部の帯広市・音更町・幕別町エリアでは、河道内における貯留施設設置や既設ダムの有効活用、堤防の危機管理型ハード対策による決壊時間引き延ばしといった対策を上げた。
下流部の池田町エリアと豊頃町エリアでは、危機管理型ハード対策や耐浸透機能などの観点から堤防強化させるとともに、丘陵堤による堤防強化、掘削残土を活用した農地のかさ上げなどが有効であるとした。
各エリアとも道路のかさ上げ、高台が存在しない地域での築山整備、自助の面では住宅のピロティ化や電源施設の耐水化なども提案し、それぞれ実現の可能性や経済性を勘案して、今後検討を進めていく。
次回開催は19年度末で、常呂川での適応策や、十勝川も含めた適応策による効果を報告し、中間取りまとめを行う予定だ。
(北海道建設新聞2019年12月19日付1面より)