雪の滑りに特化 扱いやすい1液タイプ
村田塗料店(本社・札幌)は、滑雪性に優れた屋根用塗料「陸王」を提案している。1液タイプのシリコン系塗料で、雪の滑りに特化した製品。塗ると雪が積もりづらくなるため、雪下ろし作業をしないで済む。塗膜に重ね塗りできることから、施工性やメンテナンス性も優れる。作業者の高齢化や人手不足が深刻化する中、安全に主眼を置いた塗料として広く普及させたい考えだ。
KFアテイン(本社・仙台)の製品。村田塗料店は、同社の除雪重機用塗料「雪王」やさび止め塗料「鉄王」で北海道総代理店となっていて、関連で屋根用塗料「陸王」を扱っている。

雪を滑らせて積もらせない「陸王」
陸王は、パラフィンワックスを主剤に、はっ水性と滑り性を融合させた塗料。摩擦抵抗が低いため、屋根から雪が滑り落ちても塗膜が傷みにくい。耐候性に優れ、紫外線を浴びても塗膜が劣化しにくく、機能が長持ちする相乗効果もある。
重ね塗りできるのも特長。1液タイプのため調合やかき混ぜの手間がなく、通常の屋根塗装と同様、手軽に塗ることが可能だ。
雪下ろし作業中の事故や不意の落雪で自動車などの家財がダメージを受けないよう、安全を主眼に開発した製品。3寸以上の勾配を持った屋根なら雪が降っている先から滑り落ちることから、雪下ろしで屋根に上る必要がなくなる。
もともと添加剤として8年ほど前に売り出したが、塗布部分の表面温度を36度に保って養生しなければならないなど施工条件が厳しく、相性の良い塗料も限られ、使用には専門の知識・技術が必要だった。
しかし、扱いやすい1液タイプとすることで課題をクリア。滑りやすいためゴム底の作業靴を履くなど若干の注意は必要だが、屋根塗装に慣れている施工店であれば難なく作業できる。
オープン価格だが、おおむねフッ素系とシリコン系の中間の位置付けだという。出動回数や規模にもよるが、雪下ろしを外注するとシーズン10万円以上かかるため、こうした管理費用の削減効果を考えれば、初期コストは高めでも中長期的な値頃感はある。
気温の緩む春先を中心に、屋根からの墜転落事故は後を絶たない。近年は高齢者だけでなく、除雪業務を請け負うプロの事故も起きていて、根本的な防止策が必要だ。秋田県大仙市では住宅リフォーム事業の一環として屋根の塗装に補助金を設けるなど、先進的な取り組みも出ている。
村田塗料店の遠藤隆之第一営業部次長は「危険な目に遭わなくて済む安全第一の商品のため、ニセコなど雪の多い地域を中心にもっと広まってほしい」と話している。
(北海道建設新聞2020年2月14日付3面より)