体内時計調節器など
働き方改革を受けて職場環境の改善が進む中、万全な体調で職務に臨む準備が欠かせない。こうした中、心身共に健康を維持できるよう、体内時計を正常に戻す装置や生活習慣の改善につながるサービスが広がっている。各社が提案する健康に役立つ製品・サービスを見る。
電制(本社・江別)と室蘭工大が共同開発したウエアラブル体内時計調節器「ルーチェグラス」。眼鏡のようにかけて使用する。眠気を誘うホルモン「メラトニン」の分泌を模擬自然光で抑制し、体内時計を正常に戻す。
ルーチェグラスから発光する1万ルクスの模擬自然光で目を照らすことで、網膜から脳の視床下部にある体内時計をコントロールする視交叉上核(しこうさじょうかく)という神経細胞に伝わる。光の信号は松果体(しょうかたい)に送られ、睡眠を誘発するメラトニンを抑制して眠気を覚ます。時差ぼけの解消や集中力を高める効果などが期待できる。
田上寛社長は「人工の太陽のようなもので、少しずつ体内時計を元に戻す。医療機関を対象に販売しているが、個人からの問い合わせも多い」と話す。
「立つ」「歩く」「座る」といったオフィス活動を計測するアプリ「Workcise App.」に電動上下昇降デスク「toiro(トイロ)」を連携させたイトーキ(本社・東京)。アプリで計測されるデータから、長時間座位姿勢が連続した場合などを検知する。不健康な状態が続くとデスク天板が約1㌢微昇降し、立位姿勢への切り替えを促す。
北大発認定ベンチャー企業のミルウス(本社・札幌)は、健康状態を見える化することで生活習慣の改善につなげられるサービスを提案している。利用者は食事の写真やアプリで計測した活動量、睡眠時間をLINEで送信。取得した個人データは専用のカードにためて管理する。
専用カードは公開鍵暗号化で個人情報を保護する仕組みを備えていて、専門家など限られた人だけが閲覧可能。専門家はデータを基に一人一人にアドバイスができる。
南重信社長は「一番の売りは、鍵の暗号化で情報が漏れないこと。生活習慣は自分が努力すれば改善できる。あらゆるライフログをカード1枚で管理できる」とPRしている。
竹中工務店は、スタンディング式の打ち合わせテーブルと野菜栽培を一体化した「ベジテーブル」を開発。生活の大部分を過ごす建物の中で、知らず知らずのうちに健康増進が図られるソリューションの一つだ。約80種類の野菜栽培ができ、感性・創造性の活性化など執務環境の改善に寄与する。
(北海道建設新聞2020年2月20日付3面より)