北海道開発局は、全国に約1200ある「道の駅」を対象に調査し、本道の観光拠点として機能強化する方策の検討に着手した。特に外国人観光客のさらなる誘客・利便性向上に向け、多言語対応やキャッシュレス決済の先進事例を検討。また、サイクルツーリズムやシーニックバイウェイとの連携など広域観光やアクティビティーの拠点としての利用可能性も追求する。
道路利用者向けの休憩所や商業施設が一体となった道の駅の制度は1993年からスタート。四半世紀以上が経過したことを踏まえて、国土交通省の検討会が2019年に新たな道の駅の方向性について提言をまとめた。
提言では、従来の「通過する道路利用者へのサービス提供機能」「道の駅自体の目的地化」に続く第3のステージとして「地方創生・観光を加速する拠点」として位置付けた。中心となる目標として①道の駅の世界ブランド化②災害時の拠点となる「防災道の駅」の形成③子育てや地域活性化など地域センターとしての道の駅―の3つを掲げた。
このうち①の世界ブランド化では、さらに多くのインバウンドを迎え入れるための目標を設定。多言語対応した観光案内所のある道の駅を約110駅から500駅に伸ばし、キャッシュレス決済は500駅から1000駅まで倍増させる。交通拠点としてMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の導入も図る。
開発局はこの①に関わる目標達成に焦点を絞った検討に着手。10日には、検討業務をパシフィックコンサルタンツ・日本みち研究所設計共同体に委託した。
検討業務ではまず、全国約1200の道の駅を対象にインバウンド対応状況から先進事例を調査し、外国人観光客側のニーズも把握した上でさらなる受け入れ拡大に必要な施策を練る。
また、サイクリングなどアクティビティーの拠点となっている道の駅もあることから、地域に人を集めて周遊観光を促す拠点機能を強化する支援方策も検討。沿道地域一体での周遊を促すシーニックバイウェイ・日本風景街道と連携した事業の展開を図るほか、恵庭市など道の駅隣接地へのホテル建設宿泊ニーズの高まりといったトレンドも踏まえて観光拠点機能強化策の検討を進める方針だ。
(北海道建設新聞2020年9月17日付1面より)