ブレークアウト 藤田龍之介社長に聞く

2020年11月30日 10時00分

ワクワクする非日常を演出 民泊利用者増加へ

藤田龍之介社長

 GoToトラベルなど景気刺激策への期待と不安から民泊物件の売買が活発化している。道内で約100の民泊の企画・管理を手掛けるブレークアウト(本社・札幌)の藤田龍之介社長に民泊オーナーの動向や道内民泊事業向け情報サイト立ち上げの狙いを聞いた。

 ―道内の民泊市場をどう見るか。

 2019年夏ごろから稼働率と宿泊単価が上がらず、苦戦している民泊は多かった。例えば、ホテルと競合するワンルームタイプの民泊だ。ありきたりな設備ばかりで差別化できていなかったところを中心に廃業が相次いだ。

 民泊に使われていた賃貸物件はコロナ禍で事業が赤字に陥り、解約が増えた。その中にはこれまで借り手が殺到していた薄野や大通が含まれている。観光客の回復を見越した先行投資先としては狙い目だ。

 全ての民泊が採算割れというわけではない。国内向けでうまくいっていた札幌市内の1件は7月に100万円を売り上げている。

 ―自社で手掛ける民泊の特長を。

 例えば、派手な色を壁紙や家具に取り入れた個性的で写真映えする民泊だ。古い家の場合は、経年劣化や汚れが気になる水回りなどのリフォームを勧めている。清潔感を高めれば管理が行き届いていることのアピールにもなる。

 観光客の多くはインターネットを用いて宿泊先を探す。少ない写真と時間で民泊の特色を伝えて目を引くには広告戦略が大切だ。インテリアコーディネーターやカメラマンと連携し、ワクワクするような非日常の演出を目指している。

 ―民泊業界に明るい話題は。

 10月からGoToトラベルに民泊仲介サービス「Airbnb」が加わった。普段以上に手頃な価格で民泊を試してもらうチャンスだ。日本人の幅広い世代に民泊文化が浸透するきっかけにしたい。

 一般的な民泊オーナーは清掃や運営を委託する。民泊は無人にして人件費を抑えるのが基本だ。この結果、宿泊客は第三者との距離を保って感染対策ができる。

 自家用車やレンタカーを用いた個人旅行が増えれば札幌以外にも商機がある。駐車場付きの一軒家など大人数向けの民泊の伸びに期待している。

 ―地方の空き家に需要はあるか。

 道内の民泊事業向け情報サイト「民泊不動産.com」を7月にリリースした。買い手が付かない空き家や、民泊事業に失敗した物件に興味を示す挑戦的な顧客はいる。不動産業者が持つ空き家の情報を集約し、買い手と売り手をつなぐのが目的だ。

 テレワークを導入している東京のIT企業などは、社員のワーケーション向け施設として空き家を検討するケースがある。福利厚生だけでなく、利用がない期間は民泊にすれば収益の柱を増やせる。ゆくゆくは掲載地域を全国に拡大し、アフターコロナの民泊需要に応えたい。

(北海道建設新聞2020年11月27日付2面より)


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