小樽商工会議所は、オタモイ海岸周辺の観光拠点化に向けた可能性調査の結果をまとめた。大枠の開発コンセプトを整理したもので、ハード関連では既存道路や駐車場の安全対策をはじめ、核施設となるホテルや研修施設などの宿泊施設、浴場や展望台、海からアクセスできる桟橋、船着き場の整備を盛り込んだ。2021年度から本格的な実地調査を進め、計画の実現を目指す。
対象地域は、昭和初期に道内屈指のレジャー施設として知られた「オタモイ遊園地」があったニセコ積丹小樽海岸国定公園内。市街化調整区域外だが、公園計画の園地に指定されており、公園利用者の散策やデイキャンプなど、自然との触れ合いを図るための施設整備は認められる。
調査結果は同会議所企画・政策委員会がまとめた。地域の歴史性と優れた景観などのポテンシャルを生かして、新たな観光資源を提供するためのハード整備を提案し、公共事業が中心となるフェーズ1、民間開発のフェーズ2の2段階に分けた。
フェーズ1はアクセス道路整備がメインで、既存施設の安全対策強化として小樽海岸自然探勝路5500m、市道オタモイ線から唐門(からもん)までの連絡道路640m、唐門から駐車場までの七曲道路1000m、駐車場6000m²を挙げたほか、海岸につながる道路140mの新設も加えた。同時に、民間事業者で調査や着地型観光商品の開発を進める。
フェーズ2では、核施設と海からのアクセスを整備。核施設のデザインは①オタモイ遊園地にあった龍宮閣②アクティビティを主としたネイチャーセンター―の2案とした。付帯施設は浴場と展望台が共通で①はホテル・旅館、遊園地に関する歴史資料館、唐門の移設を想定。②は研修施設、ネイチャーセンター、自炊スペース、イベントステージなどを配置する。
桟橋を新設することで海からもアクセスでき、船着き場には休憩所、飲食施設、備品倉庫などを設ける。下水道は、高低差があるため大型ポンプが必要になる点や重機の乗り入れが困難であることを踏まえ、合併浄化槽設置が有力としている。
2月にニトリホールディングス(本社・札幌)が寄付した5000万円を活用し、安全性確認に向けた地質調査、観光資源調査などを進め、事業化に向けた採算性を確認する。
(北海道建設新聞2021年3月17日付13面より)