重点区域で建築物新築を規制 洞爺湖町が6月にも景観計画成案

2021年05月17日 15時00分

洞爺湖温泉側から見た洞爺湖岸景観形成重点区域。湖面越しに見える羊蹄山などの眺望保全に向け、対岸の建築物の高さを規制する

 2021年度から景観行政団体に移行した洞爺湖町は、景観計画の素案をまとめた。入江・高砂貝塚、国道230号沿道、洞爺湖岸の3つのエリアを景観形成重点区域に設定。特に世界遺産登録を目指す入江・高砂貝塚周辺は高さ10mか延べ10m²を超える建築物の新築などを規制し、町への届け出や事前協議を求める。6月にも成案化する。

 洞爺湖をはじめ火山活動で形成された雄大で美しい自然は、1949年に支笏洞爺国立公園に指定。09年には貴重な地質遺産などが国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界ジオパークに認定された。また、入江・高砂貝塚はユネスコ世界文化遺産登録を目指す北海道・北東北の縄文遺跡群の一部となっている。

 これら多くの観光資源に恵まれ、同町は年間300万人が訪れる観光地となっているが、近年、外資系企業による森林の購入などが続き、無秩序な開発を防ぐ必要性が出ている。

 町は4月1日付で景観行政団体に移行し、自治体として独自の規制を設定することが可能になったことを受け、町の良好な景観を守り次世代に引き継ぐために計画を策定。町内全域を適用範囲とし、特に重要な3つのエリアを景観形成重点区域に定めた。

 入江・高砂貝塚景観形成重点区域は、貝塚がある高砂町と入江町について、JR室蘭本線を境界に山側を区域Ⅰ、海側を区域Ⅱと設定した。

 区域Ⅰは町内で最も厳しい規制となる高さ10mか延べ10m²を超える建築物の新築、増改築や300m²以上の開発行為などを届け出の対象とし、事前協議も必要とした。区域Ⅱでは高さ10mか延べ2000m²を超える建築物の新築、増改築などで届け出を求める。

 洞爺地区内の国道230号沿いに設定した沿道景観形成重点区域は、沿道から見える洞爺湖や田園景観の眺望を保全するため、道路中心線から両側100m区間について高さ10mか延べ1000m²を超える建築物の新築などに届け出を求める。

 洞爺湖北岸一帯を対象に設定した洞爺湖岸景観形成重点区域は旭浦、成香、香川、大原、財田、川東、岩屋地区を区域Ⅰ、洞爺町地区を区域Ⅱに設定。洞爺湖温泉側から洞爺湖の湖面越しに羊蹄山などの優れた眺望を得ることができるエリアなどを保全する。

 区域Ⅰは高さ10mか延べ1000m²を超える建築物の新築など、区域Ⅱは高さ13mか延べ2000m²を超える建築物の新築などが届け出の対象となる。

 国立公園特別地域や準都市計画の指定を受けている区域だが、民有地での無秩序な開発を防ぐ必要があり、将来的には都市計画の制限を要する「景観地区」の指定も検討するとしている。

(北海道建設新聞2021年5月14日付15面より)


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