アートや個別空調で快適性向上 コロナの経験をオフィスへ

2021年09月01日 15時00分

リモートワークが浸透し役割が変化 高まる「見直し意識」

 アフターコロナを見据え、オフィス環境を考え直そうという意識が高まっている。リモートワークなどの浸透から、オフィスがコミュニケーションを取るための特別な場と代わっていることを踏まえ、職場にアートを組み込んだり、個別空調によって快適性を高めるなど提案サービスはさまざま。次世代のオフィス環境のヒントを探る。

 イトーキは、ポストコロナ時代を見据えてオフィス向けのアート関連事業を強化する。アートを通じた快適空間作りを進めるアートプレイス(本社・東京)をグループに加えた。リモートワークの増加などで、オフィスは社員が集まるためのコミュニケーションの場としての役割が大きくなり、特別感や交流を演出するアートを付加することで職場の生産性や一体感は高まると考える。

 空調衛生や消防設備の工事を手掛けるダイダン(本社・大阪)が札幌市内に建てた北海道支店の新事務所では、人と地域が共存できるオフィスを目指し、さまざまな最新技術が取り入れられている。2階の執務室では貫流熱を抑えるため、表面積の小さくなる建物形状を採る。

 北海道ならではの寒さ対策では、足元から暖気が染み出してくる空調システム「クリマR」を取り入れる。フロア表面からの放射効果もあり、上下や平面の温度ムラを解消できる。椅子型の空調「クリマチェア」も効果的で、自分の作業域で好みの温熱環境を調整できる。夏の暑さ対策、冬の寒さ対策どちらにも有効で、これからの季節は内蔵ヒーターでももの裏部分を心地よく温めてくれる。

ダイダンが提案するクリマチェアとクリマRのイメージ

 内田洋行は、アフターコロナに備えて新たなオフィス構築を探る「ネクスト・ワークプレイス簡易診断プログラム」を用意する。業務内容と執務環境に関するアンケートで、適正と思われる出社率を算出。アフターコロナ下での必要スペースをシミュレーションし、適したオフィスタイプを診断する。

 オフィスでは快適なトイレ空間も重要な要素だ。TOTOと三菱地所は、心と体をリフレッシュできる先進的なオフィストイレ「ナゴムマ・レストルーム」を都内の常盤橋タワー3階に設けた。左右への広がりと包まれ感のある六角形ブースが特徴で、照明と音の演出でリラックス効果を高める。フレキシブルブースを2カ所用意し、利用状況に応じて男性と女性用それぞれに可変できるのも特徴だ。

 最近のオフィスでは空気の質も気になるところ。パナソニックが業務用として販売する空間除菌脱臭機の「ジアイーノ」は、2013年の発売から累計10万台の出荷を突破した。塩水の電気分解で生成される次亜塩素酸の高い除菌力に着目し、カップ式自動販売機向け除菌装置を開発した旧三洋電機の技術が根源。20年には、業務用に求められる長時間・連続運転に対応し、水道管と直結して自動給水することで日々の給水作業を省いた仕様も上市した。

(北海道建設新聞2021年8月31日付3面より)


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