ピロティで津波への対策も
白老町の町立国民健康保険病院改築がスタートする。発注方式の変更や津波浸水想定案公表による一部計画の見直しなど、さまざまな議論を経て、このほど最適提案者が決定。1月末にも基本協定を締結する。その後、基本設計にかかる予算案を議会に上程し、年度内には基本設計に着手する予定だ。2024年3月の完成を目指している。
日の出町3丁目1の1にある現病院は1966年に建設。現在地でRC造、2階以上、延べ4100m²程度の規模で建て替える。事業に当たっては認定NPO法人健康都市活動支援機構の支援を受けている。
町は当初、設計と施工を分離した従来方式での発注を計画していたが、工期短縮や事業費縮減などの観点から、設計と施工を一括で発注するデザインビルド(DB)方式に変更。また、道が21年6月に公表した新たな津波浸水想定案を踏まえ、津波対策としてピロティ方式の採用を決めた。町は病院敷地の浸水深をおおむね3―4mと見込む。
8月に改築事業を公募型プロポーザルで公告。7事業者が参加し、全ての事業者が1次審査を通過した。16日に開かれた2次審査の公開プレゼンテーション・ヒアリングには全1次通過者が参加し、フジタ・久米設計・岩倉建設・岩崎組共同体が最適提案者に選ばれた。
町によると、同共同体は南側東西方向を基本に鍵形の建物を提案。来院者と病院スタッフの動線を完全分離した配置計画や将来的な建物の増改築に対する柔軟性を示した。屋外リハビリスペースや3カ所の緊急時避難スペースを確保するほか、省エネ性能を向上させる姿勢を示した。
共同体には町内業者を含んでいるが、さらなる地域への配慮として、地元事業者の活用や物品購入など地元貢献額を8億5000万円と提案。参加した7事業者中最高額だった。
基本・実施設計を23年2月28日までに終え、建物は24年3月31日までに完成。24年5月の大型連休明けの開院を目指す。現施設の解体などを含めた外構は25年9月30日までの予定だ。