本道の将来見据え選択 道横断道2路線ルート案

2022年10月17日 08時00分

 北海道開発局が12日に開いた社会資本整備審議会道路分科会の第31回北海道地方小委員会で、北海道横断自動車道女満別空港―網走間、蘭越―倶知安間の第2回となる計画段階評価が実施された。順調に審議が進めば、年度内に新規採択時評価、2023年度には事業化する可能性がある。地域住民の理解の下、本道がわが国に貢献するポテンシャルを出し切れる案を選定し、着実な整備を望む。

 北海道開発局は会合で、各路線整備について全線新設の別線案と、一部新設・現道改良案の2案を提示した。経済面では一部現道改良が優位。概算事業費は各案の間で数百億に上り、既存ストックを利活用する一部現道改良案がコストを抑えている。半面、安全性、速達性などでは別線案に軍配が上がる。

 昨今、新型コロナウイルス感染症、ロシアのウクライナ侵攻長期化で世界経済の混乱が続く。そんな中で食料、エネルギー安全保障の重要性が叫ばれ始めた。本道のわが国における食料基地、再生エネルギー生産基地としての役割に期待が高まっている。

 こうした役割を果たすため、広域型分散社会の地域維持・発展、このための道民の働き方改革が必須だ。地域の物流、医療を支えるための高規格ネットワーク整備はこれまで以上に必要性を増している。

 会合では、委員から「これまでの社会資本整備で言われてきた『速達性』の意味が変わってきているように思う。地方の観光業労働者の働き方改革などにも関わってくる」という意見が聞かれた。

 女満別空港―網走間は地域住民はもとより、網走の流氷、知床方面に向かう観光客が多く利用する。インバウンドの回復が見込まれ、将来は蘭越―倶知安間も観光客、観光事業者による多くの利用が想定される。

 いずれの路線も、これまで高規格ネットワーク整備を続けてきた継続、歯抜けの区間。蘭越―倶知安間は完成すれば、黒松内―札幌間が高速ネットワーク接続、道央圏の大局的なリダンダンシー(代替性)確保の実現が目前となる。自然災害の激甚化が進む今、代替性の確保が本道の生産能力維持に欠かせなくなる。

 別線案の概算事業費は、2路線とも最大で1000億円を超える。自然景観への配慮も求められるなど課題もある。本道の将来に最も適切な案を選んでインフラを完成させることが何より重要だ。道内地域の維持発展、わが国への貢献に寄与する事業となることを期待したい。(高橋秀一朗記者)


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