土木学会は15日、2022年度インフラメンテナンス賞の受賞者を発表した。道内関係は、プロジェクト賞でJR北海道鉄道事業本部工務部工事課による降雪期での分岐器不転換防止対策や稚内開建稚内港湾事務所の稚内港北防波堤ドーム予防保全事業など3件が選定された。授賞式は27、28日に東京都内で予定する第2回インフラメンテナンス・シンポジウム内で開く。
土木学会では、21年度にインフラメンテナンス分野の表彰制度を創設。インフラメンテナンス分野に特化し、優れたプロジェクトや人・団体、個別要素技術、論文を評価し、共有することでメンテナンス関係者のインセンティブを高めることを目的としている。
22年度は表彰小委員会の選考を経てプロジェクト賞6件、チャレンジ賞10件、エキスパート賞8件、マイスター賞14件、特別賞1件、優秀論文賞6件が選ばれた。
プロジェクト賞は、地域の社会・経済・生活の改善に寄与したプロジェクトを表彰。道内関係を見ると、JR北海道鉄道事業本部工務部工事課による降雪期での分岐器不転換防止対策は、積雪寒冷地で鉄道の安定輸送を確保するために分岐器融雪ピットを開発。持ち込み雪や落下雪による不転換対策に長年取り組んできた。開発後も改良を重ね、道内84カ所に設置している。
稚内開建稚内港湾事務所の稚内港北防波堤ドーム予防保全事業は、変状を鉄筋腐食リスクにリンクさせた5段階の劣化度で格付けし、エリア単位で評価した劣化度マップを考案。床版部外面の補修工事を進め、歴史的価値のあるドームの予防保全に取り組んでいる。
東日本高速道路は高速道路リニューアルプロジェクトで受賞。関東支社京浜管理事務所や新潟支社長岡管理事務所とともに北海道支社札幌管理事務所が関わった。高速道路の長期健全性確保に向けた大規模更新・修繕でロードジッパーシステムによるシームレスな車線切り替えや地域の特性を考慮した交通規制を展開し、円滑で安全な交通確保を実現した。
特別賞には、建設現場やそこで働く人々にスポットを当てた写真集を出版している写真家の山崎エリナさんが選ばれた。