これほど成功が目立つ国土交通省の事業も珍しいのではないか。「道の駅」の話である。今やすっかりおなじみ。ドライブには欠かせない施設となった
▼ちょっとした休憩やトイレに立ち寄るばかりでなく、道の駅そのものを目的に出かける人も多い。各地を巡るスタンプラリーも相変わらず人気である。地域の特産品を置いていたり、地場産食材を使ったおいしい食事を提供していたり。魅力のある道の駅が増えた。コロナ禍明けでもあり、春の大型連休(GW)はどの道の駅も大にぎわいだったようだ。なのに、この一番の書き入れ時に休んでいる施設があった。当方もGWに近場でドライブを楽しんだのだが、「サーモンパーク千歳」へ行ったところ閉まっていたのである
▼見ると9月の再開を目指し改装中との張り紙があった。居合わせた人は皆、がっかり。指定管理者の交代がうまくいかず、テナントともめているのは聞いていたものの、まさか観光シーズンをみすみす逃すまでの事態になっていたとは。指定管理者は4月1日の交代が決まっていた。ところが前の管理者とテナントの間で退去に関する意思疎通が適切にできておらず、テナントは続けられると考えていたらしい。ひのき舞台に店を出す覚悟をし、設備投資もしていたのだから気持ちは分かる
▼官の苦手な営利やサービスに民のノウハウを活用する指定管理者制度は有用で、時に交代があるのもやむを得ない。ただ方針が変わるためトラブルになる例もままある。道の駅は地域の顔となる施設。自治体がもう少し交通整理をしてもいい。