幾春別川などを利用
三笠市は、幾春別川などを利用した流雪溝の設置・運用の可能性研究を開始する。記録的な豪雪や短期間に降雪が集中するなど、これまでの除排雪体制では対応しきれない状況が増加。可能性が確認できれば順次、流雪溝設置の基本設計、詳細設計、施工へと進めたい考えだ。
三方を山に囲まれた特別豪雪地帯で、高齢化が進む中、冬場の除雪は市民生活の大きな負担。過去最大規模となった2020年度は、市の降雪量・積雪量が、中心部の三笠地区で累計降雪量13.15m、積雪1.67m(20年12月31日)、幾春別地区で累計降雪16.54m、積雪2.24m(21年2月24日)に到達。記録的な大雪を受け、雪の影響を受けにくい生活環境の構築や仕組みづくりに取り組む。
雪処理対策については、16年度に「三笠市冬快適プラン」を策定。流雪溝の設置・運用が一つの手法として提示され、概略検討の精度を高め、課題や問題点の整理をし、設置の可能性を研究する。
流雪溝は、道路の路側部や道路の下に設置された水路に、一定間隔に設けられた投雪口から雪を投入。流水を利用して河川などに運搬し排雪する設備で、幾春別川から取水した河川水を市内に整備した流雪溝に流し込み、雪を投入し、河川水と共に幾春別川に流出させる。取水方法は、幾春別川に流入口を設置し自然流下かポンプアップ、かんがい溝の利用などが考えられる。
「三笠市冬快適プラン」によると、総事業費は、主に市内中心部の道路延長4800m(施設延長9600m)で約60億円、市街地のみを対象とした必要道路延長4200m(施設延長8400m)で約53億円と試算する。
23年度は、既存資料や最新資料の収集整理、対象路線・幾春別川の現地踏査、除排雪システム、除排雪改革策定路線の選定、水利用、取排水、縦断勾配、管理運用計画、概算工事費、課題整理、水利権取得に必要な基礎資料取りまとめなどを実施。委託業務は7月下旬に発注し、24年3月までに完了する予定だ。