最近は多くの職場で開かれているのでないか。働く人の心の健康を守るためのメンタルヘルスケア研修の話である。精神の病を発症する人が増えていることを背景に、厚生労働省が近年、各職場で対策に取り組むよう指導を強めているのはご存じの通り
▼当社でも先日、全社員を対象にした研修会が開かれた。それによると管理監督者の果たす役割が大きいそうで、基本は「あいさつ、声掛け、聴く、つなぐ」の四つ。親しく気軽にあいさつや声掛けができる関係をつくり、相手の話には身を入れてじっくり耳を傾ける。調子が疑わしければ専門の保健スタッフなどと連携するといった具合。昨今は自衛隊もメンタルヘルスには気を遣っているというが、今回の現場ではどうだったのだろう
▼岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場で14日、訓練中の18歳の自衛官候補生が89式小銃を発砲し、52歳の教官ら2人が死亡、1人がけがを負った。報道によると殺人未遂で逮捕された男は教官に叱られたと供述しているという。男はこの4月に入隊し、前半3カ月の教育訓練期間を終える頃合いだった。そんな区切りの時期になぜ凶行に及ばねばならなかったのか。警察の捜査とは別に、自衛隊内部での検証も避けられまい
▼メンタルヘルスの観点では、学生から環境が劇的に変わり、強いストレスにさらされる新入社員に不調が起きやすいとされる。職場でつらい目に遭っていたとしても断じて殺人は許されない。銃を扱う自衛隊で発生したのも重大である。ただ、心の問題はどの職場でも起こりえよう。人ごとではない。