そろそろ毎年恒例の熱い論争が繰り広げられる時期でないか。ざっくりまとめるとこんなやり取りになろう。「ベル食品」(札幌)が一番口に合う。いや、うちは子どものころから「ミツカン」(愛知)一筋だった。何を言うか、「西山製麺」(札幌)が最もおいしいに決まっているだろう―
▼北海道民には説明するまでもあるまい。家で作る冷やしラーメンにどのスープを使うかという、主張のぶつかり合いである。メーカーによってすっぱ味が強かったり少し甘めだったり、はたまたごま油の風味を前面に出したりと個性が違う。自分の好きなスープを食べればいいだけの話なのだが、スーパーなどで別の商品をかごに入れている人を見ると、「え、それなの」と思ってしまったりするのである
▼今月に入ってから25度を超える日が続く。こうなるとやはり食べたくなるのは冷たいものだ。冷水でキリリと締めた麺にスープを惜しげもなくかけ、ずるずると一気にすする冷やしラーメンのうまさといったらない。細切りキュウリに紅しょうがと錦糸卵、もし冷蔵庫にあれば焼豚かハムも乗せれば彩りがきれいな上に栄養も十分。炭水化物とタンパク質はもちろん、野菜もとれる意外と優秀な食べ物なのである
▼ちなみに本道でいう冷やしラーメンを、本州では冷やし中華と呼ぶそうだ。実際、先の3種類のうち、ミツカンだけはラベルに中華と表記されている。いずれにせよ厳しい暑さはまだしばらく続く。食欲が出ない日もあろう。夏バテを避けるには何よりも体力。しっかり腹に入れて夏を乗り切りたい。