寿都町は、観光の目玉として活用するため、以前から補修を進めてきた漁場建築の角十佐藤家に加え、2015年度からは旧鰊御殿の橋本家でも本格的な整備に取り掛かる。橋本家は母屋などの改修や管理棟を新築し、佐藤家は補修とともに国の史跡申請を進める。両家の改修・補修などは15年度内で終える予定だ。
道の指定有形文化財となっている角十佐藤家は、国道229号沿いの歌棄有戸163に位置。源義経の家臣で佐藤継信の末裔(まつえい)と伝えられる人物が、明治初期にニシン漁で得た豊富な資金で建てたもので、現存する漁場建築でも代表的な遺構となっている。規模はW造、2階、延べ741m²。
12年度から5カ年計画で補修を進めており、15年度は2000万円余りを措置。外壁と2階、屋根部分の補修がメーンになる。並行して国指定の史跡に申請をして、観光スポットとして箔(はく)を付けたい考えだ。
一方、歌棄町有戸14に立つ橋本家は、かつて商社としての機能を果たし、角十佐藤家と協調して寿都町を繁栄させた歴史的建造物だ。規模は母屋がW造、2階、延べ418m²のほか、2階、延べ79m²の土蔵、延べ126m²の倉を併設している。
15年度は母屋の外壁、土台を改修するほか、内部装飾などを復元する作業を進める。併せて、管理棟の新築にも着工する。春先に実施設計を発注して、8月に着工したい考え。管理棟の規模はW造、平屋、延べ74m²を見込む。15年度予算として約8800万円を見込む。
同町では「将来的に、橋本家の倉は地域コミュニティーの場として活用し、ミニコンサートなどが開ければ。母屋は博物館のように中を見学できる格好にしたい。佐藤家は、昔の生活が追体験できる施設に」と話している。