2018年の完成を目指し札幌市中央区の北1西1地区で建設が進む再開発ビル「さっぽろ創世スクエア」。このほど、低層棟の札幌文化芸術劇場で、目玉工事の一つであるホール大空間を支える大型屋根トラスのリフトアップ作業が行われた。4本組み屋根トラスの総重量は188㌧に上り、地上6階から特殊ジャッキで約31m上の屋上階まで引き上げる作業を無事成功させた。
同ビルは創成川通と北1条通に面する北1条西1丁目の敷地に、S・SRC・RC造、地下5地上28階塔屋1階、延べ13万1085m²の規模で建設するもの。
高さ124mの高層棟には、放送局や民間オフィスなどが入居。高さ64mの低層棟には市の市民交流プラザとして、道内最大級を誇る2300席のホールを備えた札幌文化芸術劇場や、札幌文化芸術交流センター、札幌市図書・情報館の3つの機能を備える。
施工は大成建設・岩田地崎建設・伊藤組土建・岩倉建設・丸彦渡辺建設共同体が担当。
通常、屋根トラスの施工は、上部で1本ずつ取り付けるが、今回はトラス1本の重量が大きく、引き上げるにはクレーンの能力をさらに大きくする必要があったことなどから、中間階となる地上6階の床付近で安全かつ効率的にあらかじめ地組みした後、油圧ジャッキで一気に揚重する方法を採用した。
リフトアップには80㌧センターホールジャッキ(油圧ジャッキ)16台、電動ポンプ4台を使用。最初にトラス4列を梁でつなぎ、地組みユニットの状態で油圧ジャッキを使い1分間に80㍉、約11時間かけて31・9mの高さまで揚重した。
作業はひずみが生じないよう、コンピューター制御でレベルを水平に保ちながら進行。変位を30㍉以内に抑えるため一定の高さで止め、精度を確認しながら進めた。
実施した13日は天候にも恵まれ、規定の高さまで引き上げ、無事にボルトで固定した。ミリ単位の調整が求められる作業の陣頭指揮を執った同共同体の和田利之工事課長は、100㌧を超える揚重はあまりないとし、「綿密な計画の下で実施したが、問題なく収まった瞬間は感動した」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。引き続き安全作業で完工を目指す。
完成目標は18年3月だが、劇場を含む札幌市民交流プラザについては、準備期間を経て約半年後の10月7日オープンを予定している。