【ウランバートル=AML】モンゴルは日本と国境を接していないが、外交政策文書で日本を親しいパートナーとして「第三の隣国」と定義している。ロシア、中国と国境を接するモンゴルが日本との交流、協力を緊密かつ友好的にするために、モンゴルと北海道の経済交流促進調査会がその懸け橋となる取り組みを始めて3年が経過した。ことしも9月17日から18日までウランバートルでビジネスフォーラムを開催。北海道から約10社、モンゴルからは約50社、行政機関なども合わせると約100人が参加し、それぞれの事業を紹介。将来のビジネス展開で意見を交換した。双方の調査会長からは、モンゴルと北海道の協力拡大に向けてインフラが整備されたとの認識が示された。(Z・ボルギルマー)
■北海道と協力拡大へ 民間共同事業協定など「インフラ」整う
モンゴルと北海道の経済交流促進調査会は、自然環境や気候条件が似ている北海道とモンゴルの企業マッチングとビジネスを成功させる機会を創出するために、過去3年間ウランバートルと札幌でビジネスフォーラムを開催してきた。ことしのフォーラムも多くの参加者の下に盛況であったことをモンゴル側は高く評価し、Kh・バトトルガ大統領とM・エンフボルド国家大会議(国会)議長が武部勤北海道モンゴル経済交流促進調査会長の前で祝意を述べた。
モンゴル北海道経済交流促進調査会のL・ボルド会長は「日本側のフォーラム参加者はこれまで以上に『これら共同事業に取り組もう』という姿勢と希望を持っているように見えた」と強調し、日本側参加者にモンゴルでパートナーを持つことに関心が高まっていることを歓迎した。
武部会長が「私たちは最初知り合うために来て、次に心を開くために来た。今回は結婚式を挙げるために訪問している」と述べたことがL・ボルド会長を感動させ、同会長は「今回のフォーラムで北海道とモンゴルの民間企業が具体的に提案や計画を話し合ったことは、武部会長の言葉が言い当てている」と解説した。
さらにL・ボルド会長は、双方の民間企業が具体的な案件で共同事業を行うために必要な「インフラ」が整ったと指摘した。具体的には、両国の関係が「戦略的パートナーシップ」の段階に到達したこと、経済連携協定(EPA)が2016年に締結されたこと、租税条約(二重課税相互免除協定)が近い将来締結される方向で取り組まれていることなどを、協力拡大の「インフラ」と捉えているからだ。
■経済交流促進調査会 ビジネスフォーラムが懸け橋
フォーラムに北海道の金融機関が参加し、北海道とモンゴルの民間企業の協力を支援するための関心も高まっており、協力拡大のための法制度環境、経済的根拠、具体的案件、さらに人材が用意されてきたことをインフラが整備された状況と認識しているもようだ。
3回目となった「モンゴル・北海道ビジネスフォーラム」がもたらす成果について、S・フレルバータル前駐日モンゴル大使は「双方が協力する分野、方針、相手を見つけるまで相互訪問を継続することが望まれる。その後に具体的な成果に至る」と述べている。
双方は来年札幌で開催されるフォーラムを5月の桜が咲くころに実施することで合意。年間279万人の観光客(外国人観光入込客数)を迎える北海道と、観光分野での協力をテーマとする予定だ。
在札幌モンゴル名誉領事でもある武部勤北海道モンゴル経済交流促進調査会長はモンゴルのKh・バトトルガ大統領とも会談し、「美しい自然と遊牧文化を持つモンゴルは世界でもまれな観光資源を持っている」と述べ、北海道に観光分野の技能実習生をモンゴルから迎える事業について話し合った。