地震や台風など自然災害が多発する中、万一の際の拠点となる避難所は、新型コロナウイルス対策を含めて快適に過ごすための工夫が欠かせない。プライバシーを確保できる間仕切りや簡単に組み立てられる段ボールベッドなど各社の製品やサービスを見る。
プライバシー守る間仕切り
三和シヤッター工業は、避難所間仕切り「ファミプラ」を提案している。プラスチック段ボール製のパネルを採用。パネルの高さが1・8mと他社製品と比べて高いためプライバシーを確保でき、避難生活のストレスを軽減する。
ポスト(支柱)にパネルを差し込むだけで簡単に組み立てられる。パネルは湿気や水ぬれに強く耐水性があり、長期保管が可能だ。
2人用と3人用、4人用ユニットを用意。各ユニットを組み合わせて家族が一緒に過ごせる空間を形成できる。開口部にオプションのカーテンを付けるとドア代わりになる。
北海道事業部の藤田広志事業部長は「1・8mと高さがあり、プライバシーを確保できるほか、飛沫(ひまつ)感染対策にも役立つ」とし、新型コロナウイルス感染防止対策に有効だと話している。病院や福祉施設などに導入してもらいたい考えだ。
簡単組み立て段ボールベッド
ナカバヤシの非常時用簡易ベッド「段ボールベッド」は、工具やテープを使わず約5分で組み立てられるのが特長。重量物の梱包(こんぽう)などに使われる2重構造(ダブルカートン仕様)の段ボールを採用し、耐荷重は200㌔と頑丈な造りだ。
パッケージサイズは宅配便の160サイズに適合。発送対応がしやすいため被災地への支援物資として活躍する。
マットは両サイドをくぼませた構造。ベッドから立ち上がるときに、体の中心に足のかかとを近づけて踏ん張ることができ、重心を安定させながら立ち上がれる。ベッドの高さはハウスダストの影響が少ない30cmに設定した。
安心支えるソフト&プロダクト
理経(本社・東京)は、自治体の担当職員が一度にさまざまな媒体から住民に情報を迅速に配信できる「統合型防災情報配信システム」を提供している。一極集中機能で屋外スピーカーへの音声配信やエリアメール、自治体のウェブサイトへの掲載など、さまざまな媒体へ一度に配信することが可能だ。
ソフトウエアに加え、サーバーなどを含めた自営ネットワークを構築する。自治体の指定する避難所を無線LAN機器で結ぶと高速な双方向通信ができ、安定した通信を実現する。
人口が5万人以下の小規模な自治体を中心にハードウエアやソフトウエア、保守業務などを含めて提案する方針だ。
大塚包装工業(本社・徳島県鳴門市)はアース製薬と共同で、防汚と抗菌剤配合・消臭効果を併せ持つ非常用簡易トイレを開発した。大塚包装工業のはっ水・はつ油コート液で汚物の付着を低減。アース製薬のトイレの抗菌・消臭技術を合わせることで、便処理の交換回数を減らせる。組み立ては30秒と簡単だ。
アイリスオーヤマの高天井照明「HX―Rシリーズ 調光調色タイプ」は、避難所用としても活躍。夜間は人が歩くルートのみを点灯させ、明かりを暖色にすることで最低限の明るさを確保しながら避難者の睡眠を妨げない快適な生活環境をつくる。
(北海道建設新聞2020年6月9日付3面より)