施設整備は道の駅や収穫体験施設などを検討
平取町は、2019年度に策定したトマトの里構想に基づき、道の駅やトマト栽培の歴史展示・収穫体験施設の整備などを検討している。関連施設を集中管理し情報集積や商品開発を担う施設の建設も計画。こうしたハード面に加え、就農支援事業などソフト面の取り組みを進め、特産のびらとりトマトによる町おこしを目指す。
町は、1972年に6戸の農家からブランド品種である、びらとりトマトの生産に着手。栽培規模を徐々に拡大し、17年時点で農家163戸、作付面積115ha、年間1万2555㌧、43億6300万円の販売高を誇る生産地となった。
これまでには、トマトジュース「ニシパの恋人」の開発や地元飲食店への食材提供で魅力を発信してきた。さらなる知名度の向上とトマトを活用した地域活性化を目指し、19年2月にトマトの里構想を策定。具体的な取り組み内容をまとめた。
ソフト面では、著名人のイメージキャラクター起用や、キャッチコピーによる商品の宣伝を想定。05年に全国トマト工業会がトマトの日として制定した、10月10日に合わせたイベント実施なども企画している。
ハード面に盛り込んだのは、道の駅やトマト栽培の歴史展示、収穫体験ができる施設の整備など。各関連施設を集中管理する中心施設「コントロールセンター」も設立する考えで、情報集積や商品開発、会議室機能など多目的に活用する。
長期的には、町内のトマトジュース加工工場やビニールハウスなど、トマトをテーマにした総合公園として一体的に整備する構想も持つ。
このほか町では、トマト栽培の新規就農者を呼び込むPR事業を展開。希望者の研修を実施する体験農場を確保し、就農をサポートしている。
7日には、遠藤桂一町長らで組織するトマトの里構想推進協議会のメンバーを対象に、直売所機能を含んだ道の駅建設の可能性を探る勉強会を開催。寒地土木研究所の松田泰明上席研究員が、道の駅の効果などを説明した。その後、協議会と同協議会ワーキングチームを交えた意見交換会を実施した。
参加者から道の駅建設の適地について問われた松田研究員は、日高自動車道日高富川ICから市街地入り口まで、市街地内、二風谷地区のいずれも国道沿いが考えられると提案した。
また、導入を検討している直売所に関しては、頼りすぎると出品する農家のみの限定的な経済効果にしかならないと指摘。加工品などの開発・販売もバランス良く取り入れる必要性があるとした。
協議会とワーキングチームは今後、各地の道の駅視察などを重ね、地域における必要性や整備する場合の運営プランなどを検討していく。
(北海道建設新聞2020年7月9日付11面より)