日勝峠 再開通から1カ月(上)

2017年12月12日 19時01分

土木史に残る工事、粛々と

災復推進協 松隈嘉和会長

 2016年8月の台風で被災した国道274号日勝峠が、14カ月振りに開通してから1カ月が過ぎた。開通日の10月28日に日高町が主催した式典では、日高側で災害復旧工事に当たった施工業者で組織するR274日勝峠災害復旧関連工事推進協議会に感謝状が授与された。本道の土木史に残る復旧工事。力を合わせて早期開通を成し遂げた官民の立場から、協議会の松隈嘉和会長と道路管理者である室蘭開建の平野令緒部長に、復旧工事を振り返ってもらった。

(苫小牧支社・乙部真貴子記者、室蘭支局・安藤友康記者)

 

 ―10月28日に日勝峠が再開通した。率直な感想は。

松隈嘉和日勝峠災害復旧関連工事推進協議会会長

「当たり前のことをしただけ」と控えめな松隈会長

 われわれ請負業者がどんな条件下でも、雨が降ろうが風が吹こうが雪が降ろうが、当たり前のことをしただけ。工事に携わった30社それぞれが、今秋開通に向けて淡々と、粛々と工事を進めた。

 突発的に水が出ることもあるかもしれない。強風が吹いたらクレーンが使えないかもしれない。ポンプ車が使えないかもしれない。自然相手なのでどんな環境になるか分からないが、どんな現場でも悪条件をクリアして工事をするのがわれわれ請け負い業者だ。苦労や大変なことはどこの現場にもあるので、これだけ苦労した、あれが大変だったとアピールするものではないと思う。

 それでも、日勝峠が再開通して、日用品や資機材を運搬しているトレーラーやトラックといった箱車がたくさん通っているのを見ていると、経済、流通の要、主要幹線道路を復旧させたんだなという思いはある。

 

 ―復旧工事の本格化前に、協議会としての取り組みを聞いたが。

 この道路自体が復旧工事にも使われるので、工事用道路を直しているようなものだった。国道274号の他の被災箇所を直している各社の重機、ダンプなどがたくさん通る中での作業だった。

 ただ、ほかの現場と違うのは、全面通行止めで完全に一般車両が入らない中での工事だったということ。普通の道路改良工事では、一般車両や大型トレーラーを通しながら施工する。ここは完全にシャットアウトした中で、土木工事を生業としている者が仕事をした。ダンプの運転手、作業員、職員にしても長年、建設関係の仕事をしてきた者ばかりなので、それぞれ気遣いがあって譲り合い、スムーズにいったという面もある。

 ゴールデンウイーク明けから工事は始まった。協議会として、事前にいろいろと想定したが、実際に始まってみると、遮断された中でプロ集団が工事をしているので、連絡調整もうまくかみ合ってやっていけた。土木を生業としている者がこれまで培った経験や技術を生かし、工夫して円滑に工事を進めたからだと思う。

次回の記事はこちら:日勝峠 再開通から1カ月(下)

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 古垣建設
  • 東宏
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,388)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,276)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,253)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,098)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (918)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。