ロシア滞在中の2月12日、国内外の投資プロジェクトを推進する「ノボシビルスク州投資発展エージェンシー」を訪れた。ズィリャノフ・アレクサンドル社長は「ノボシビルスクは国内でも建設業が盛んな地域で、経済でも優先分野となっている」と話す。現在、建設資材に関する先進技術センターを建てる計画が郊外で進行中だという。
同社は州政府100%出資会社で2005年に設立。積極的な企業誘致や研究支援で先進的な技術を取り入れ、同州の発展に貢献している。
同社が既に進めている投資プロジェクトの一つが産業・ロジスティクパーク。総面積2000haの敷地内には、食品やガラス、コンクリート工場といった多様な国内外の企業が立地する。シベリア横断鉄道沿いに位置し、国際空港も数㌔圏内にあるなど物流体制も整っている。
計画中の先進技術センターでは、資材会社と大学、研究所が提携し、原料の採掘から実用化までのプロセス構築を目指す。省エネ技術やスマートシティのほか、ことし6月にノボシビルスク市が125周年を迎えることから、まちづくりへの関心も高い。「知識を応用して新しい材料を作ることが大事で、人材育成にもこれから力を入れたい」と、日本の大学や研究所との協力に期待している。
同市の郊外にある学術都市「アカデムゴロドク」は、ノボシビルスク国立大などの教育機関と40カ所以上の研究所、約400社が入居するテクノパークで構成される。ITやバイオ、医療分野などを中心に先進的な研究が進み、日本の研究機関とも提携している。建設分野でも互いのノウハウを生かして、さらなる技術向上が図れそうだ。
「アカデムゴロドク」の象徴となる州政府機関ビル
2月13―16日にロシア・ノボシビルスク市で開かれた建設展示会の取材に合わせ、現地の様子を視察した。3回にわたって紹介する。(経産産業部・武内紫衣奈)