室蘭市は、2020年度からおおむね10年間を期間とする新たな観光振興計画案を公表した。重点観光エリアとして祝津・絵鞆、地球岬周辺、中央の3カ所を提示。各エリアでの観光施設の再開発や整備、アクティビティ商品の開発などを通じ、基本理念に掲げた稼ぐ観光の達成と地域経済の活性化を目指す。
祝津・絵鞆エリアでは現在、祝津ふ頭[MAP↗]の大型クルーズ船対応に向けた工事が進んでいる。これに合わせ、道の駅みたら室蘭や市立水族館など観光施設が集積する同エリアを再開発し、一大レクリエーションゾーンとすることを明記した。
祝津ふ頭周辺は、訪日外国人や富裕層を対象とした宿泊施設、物販施設誘致などによるラグジュアリーな雰囲気の形成を目指すほか、道の駅[MAP↗]周辺は市民も利用できる機能性を重視する。
パークゴルフ場横の空き地にはキャンプ、バーベキューゾーンなどのアウトドア施設や、飲食、宿泊が可能な機能の誘致を検討する。
室蘭水族館[MAP↗]は老朽化に伴う建て替えの必要があり、市民意見を聞きながら検討を進める。
また、白鳥大橋の見学などインフラツーリズムを推進する。
地球岬[MAP↗]周辺は海側からも断崖絶壁の風景を楽しめるよう、新たなマリンアクティビティを模索するほか、トレッキングとクルージングをセットにしたサービスを提供。ハード整備では情報案内施設の整備を検討する。
官公庁の庁舎などが集積し、かつてにぎわっていた商店街を有する中央エリア[MAP↗]は宿泊、飲食施設が集中しているため、特に訪日外国人を対象としたエリア内消費を目指し、プロモーションを展開する。
同エリアでは市総合体育館、環境科学館・図書館の建設計画が進行中。これらを軸にスポーツ、教育イベントと連携した観光商品の開発などをする。
全市的にフィルムコミッション促進に向けた取り組みなどを推進する。
各重点観光エリアと主な取り組みは次の通り。
◆祝津・絵鞆エリア
◇みたら室蘭を中心とするベイエリア再開発▽市立室蘭水族館の今後の在り方検討▽飲食スペース、物販機能の拡充検討
◇アウトドア施設やマリンレジャーの検討▽キャンピングカー向け施設、アウトドア施設など検討▽マリンレジャー検討▽インフラツーリズム検討
◆地球岬周辺エリア
◇地球岬展望台情報案内施設整備検討▽路線バス延伸
◇豊かな自然を生かした体験型観光商品開発▽自然を生かした新たなアクティビティ商品検討▽新たなマリンスポーツ・アクティビティ商品検討
◆中央エリア
◇官民連携による歴史・文化観光商品開発・PR▽歴史・文化遺産を紹介する観光ガイド・コンシェルジュ育成
◇文化・教育施設と連携した中心市街地の観光消費促進▽回遊滞在を促すプロモーション強化▽スポーツ・文教施設を活用した誘客プロモーション
◆エリア共通
◇観光受け入れ体制強化▽体験型見学会の受け入れ体制充実▽ガイドサービス高度化▽観光案内情報の多言語化▽飲食・土産店のインバウンド対応▽室蘭特産品の開発支援
◇フィルムコミッション促進に向けた環境検討▽室蘭フィルムコミッション機能確保▽撮影スポットなどのデータベース化▽スポット案内や各種手続き申請などのワンストップ化▽撮影時のサポート体制強化
◇広域連携による観光促進▽ウポポイ(民族共生象徴空間)と連携した観光商品開発▽周辺観光地域と連携した観光ツアー▽炭鉄港推進協議会との連携
◇官民連携による観光プロモーション戦略立案▽プロモーション推進組織強化▽大手旅行代理店との連携▽プロモーションサイト充実▽SNSを活用した情報発信
(北海道建設新聞2020年3月18日付11面より)