貨物輸送は単線 概算事業費は7200億円
北海道経済連合会は2日、札幌市内の北洋銀行セミナーホールで第二青函トンネルに関するシンポジウムを開催した。日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)は従来の計画を改良し、片道1車線の自動運転車専用道路と、貨物輸送の単線鉄道の併用トンネル1基を整備する案を発表した。延長31㌔、内径15mのシールドトンネルとし、最大勾配は2.5%、海底下の最小土かぶりは30mと設定。概算事業費は7200億円を見込む。
JAPICの神尾哲也国土・未来プロジェクト研究会委員は、名称を津軽海峡トンネルとした新計画を報告した。
トンネルと結ぶアクセス道路は、北海道側が将来建設予定の高速道に直結、青森側は青森ICまでの60㌔を整備し、整備費は2000億円を試算する。
鉄道の在来線との接続は、北海道側が木古内までの35㌔、青森側が三厩までの10㌔を想定し、1500億円とみている。
調査設計・施工の期間は、アクセス道路と在来線との接続の整備を含めて15カ年と見込む。
事業形態は、民間が建設して完成後に公共に所有権を移転し民間が維持管理や運営をするBTO方式と、公共がサービス購入料を民間に支払い民間が道路利用者にサービスを提供するサービス購入型を組み合わせる。
鉄道は貨物輸送専門の単線を走らせて青函トンネルは新幹線専用とすることで、本来の高速性を発揮させる。自動車道は自動運転車専用とし多重衝突の発生を防ぐ狙いだ。未対応の車両に対してはパレット台車の輸送で対応する。
道経連青函物流プロジェクトチームの石井吉春座長はPFI方式の具体的手法を発表した。JAPICの提案とは別に、学識者や民間による第二青函多用途トンネル構想研究会が提案した計画をベースとし工事費は7073億円と設定した上で、BTO方式と公共施設等運営権を民間に委託するコンセッション方式とで実現可能性を比較。その結果、運営対価の総額が多額となり事業期間も超長期になるものの、コンセッション方式が実現可能性が高いとした。
シンポジウムには建設業者ら約60人が参加。パネルディスカッションでは、JAPICの藤本貴也国土・未来プロジェクト研究会委員長が津軽海峡トンネルの実現に向けて、国民的なコンセンサスを醸成するため「常に必要な事業だと言い続けなければならない」と、持続的な活動の推進を指摘した。
(北海道建設新聞2020年11月4日付1面より)
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