次世代への過渡期 2022年度北海道開発事業費

 近く通常国会で可決が見込まれる2022年度北海道開発予算。政府の22年度予算案が国会に提出されてから、財務省による新規国債設定箇所の公表、国土交通省の新規事業採択時評価などが実施された。新年度に盛り込まれるであろう新規事業、主要工事などが一部明らかになり、北海道開発局は22年度の事業計画見通しも公表。22年度の道内直轄事業の全体像が見え始めた。新年度開発予算が成立するまでの流れを見詰め直し、これからの建設業者に求められる要素を抽出する。(建設行政部・高橋 秀一朗記者)

(この連載は2022年03月15日、同16日に紙面掲載されました。)

次世代への過渡期 2022年度北海道開発事業費(下)

2022年03月23日 13時00分

公共事業関係費が伸び悩み、
新規事業の打ち出しに苦慮する国交省。
業者の受注能力を顕示したい

鍵は「CO₂削減姿勢」 DX対応、働き方改革
先端技術活用で生産性向上

 菅義偉前首相が2020年10月の所信表明演説で「カーボンニュートラル2050」達成に言及したことにより、22年度予算の概算要求基準に新たな流れが生まれた。各省庁で用途を決められる裁量的経費を1割削減するように求め、削減した額の3倍まで要求可能な特別枠を設定。「新たな成長推進枠」として予算要求を認めることにした。

 2年ぶりに復活した特別枠の仕組みは従来と同じだが、温室効果ガス削減を含むグリーン成長戦略、デジタル、地方活性化、子ども・子育てにひも付く事業が対象。実質的なシーリングとなる前年度比2割増の要求額とするためには、いかにこれらの事業を盛り込めるかが鍵となった。

 国土交通省北海道局が21年8月に公表した北海道開発事業費は国費で前年度当初比21.1%増の6780億3000万円。要求額が国費ベースで2割増を超えるのは過去20年間で例がない伸び率で、特別枠の最大限活用に成功した。

 だが、同年12月に閣議決定した政府全体の22年度予算案を見ると、公共事業関係費は6兆575億円。増加額は26億円と微増にとどまり、一般公共分は約16億円しか伸びていなかった。

 道開発予算の編成関係者は「全国的に微増の中、本道分が突出して伸びることはない」と話す。いかに全国ベースでの微増に近づけるかが道局関連予算編成者らの命題となっていた。結果として、道開発事業費は国費ベースで5588億円を確保し、0.1%の微増を守った。

 22年度予算編成と同時並行したのが、道総合開発計画の次期計画前倒し検討だ。新型コロナウイルス感染症の影響長期化、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた世界の潮流変化を受けてのキックオフ。国土審議会北海道開発分科会の委員からは、現行計画の骨子となっている本道の「食と観光」に加え、再生エネルギーの観点を加えるべきとの声が上がった。

 北海道開発局は、ゼロカーボン北海道を後押しする同局の公共事業を整理。部門別に見ると、道路では道路ネットワーク整備、道路拡幅などによる円滑な交通確保が、車両からの排出ガス削減につながるとしている。

 河川系では、河川区域から発生した伐木を管理する木材バンクを設け、道と連携しながらバイオマス事業者などに利用してもらう仕組みを構築する。

 港湾では、海藻がCO₂を吸収するブルーカーボン生態系の創出を図る。直近では釧路港島防波堤に造成してある藻場でCO₂貯留効果が確認され、今後全国で藻場造成が進む礎を築いた。

 こうした中、開発局、道、札幌市が足並みをそろえ、「北海道インフラゼロカーボン試行工事」を新設。受注工事でCO₂削減に取り組んだ企業に、工事終了時に工事成績のインセンティブを付与するなどの方式を取るものだ。

 開発局ではカーボンニュートラルの実現に向けて将来にわたって継続する方針。建設業団体との意見交換を重ねて制度をブラッシュアップし、総合評価での加点や取り組み内容による加点幅の設定などの可能性も示唆している。

 開発局によるゼロカーボン試行工事の初年度の敷居は低く、「CO₂の削減に寄与する取り組みが認められれば一律評価」される点だ。同局は建設業者からのさまざまな提案に期待している。これに応えながら、CO₂削減の取り組みを研さんし合う姿勢が、今後の建設業者に強く求められる。

 ICT、デジタル・トランスフォーメーション(DX)に対応した働き方改革も急務だ。新型コロナウイルス感染症の影響がこれらの取り組みを加速化させたのは皮肉だが、窮地をチャンスに変える絶好の機会。特にICT機器を活用した遠隔臨場の取り組みは試行件数の増加が顕著で、この1、2年で導入のハードルを越えた企業は多い。

 BIM/CIMについても、先行して導入している企業の設計、工事での活用事例を解説する説明会が道内で開かれている。

 こうした先端技術を一部でも活用して生産性を高めながら、CO₂削減のためにできることを考えていく-。こうした姿勢が、将来の道開発予算の増額につながるのではないだろうか。


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