ERIグループ参入 道建コンサルの菊谷社長に聞く

2022年08月02日 16時57分

少子高齢化社会で技術者確保へ DX推進、グループ企業と連携

菊谷義統社長

 ERIホールディングスの完全子会社となった道建コンサルタント。菊谷義統社長は少子高齢化社会で企業を存続するための人材と技術の確保、国土交通省の2023年度BIM/CIM原則適用に向けた事業強化などが目的と話す。建築確認の指定確認検査機関として国内最大手の日本ERIを中核とするグループのメリットを最大限に生かす考えだ。今後の方針などを聞いた。(室蘭支局 星野貴俊記者)

 ―ERIグループに参入した理由を。

 少子高齢化が進む中で技術者を確保するためだ。当社のような地方の企業では専門的な知識を習得した学生を集めるのが難しく、ここ数年、新卒採用ができていない。技術系の会社は簡単に技術の継承ができないため、早急に手を打つ必要があった。大手建設コンサルの傘下に入ることも考えたが、建築確認の指定検査機関と住宅性能評価の最大手であるERIから声を掛けてもらった。当社の土木分野の実績を高く評価してくれている。

 ―今後の事業展開について。

 当面は土木設計、インフラ点検、測量の既存事業強化を図る。当社はドローンを使った3次元計測や点検が得意で、グループ内には非破壊検査やウェブアプリケーションシステム開発で優れた技術を持つ企業がある。デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める上で相互連携を図りたい。共通性を見い出せれば、建築分野への進出もあり得る。

 国交省の23年度BIM/CIM原則適用が迫っている。自社の受注に加え、ノウハウを持たないゼネコンのICT業務をサポートすることも視野に入れる。3次元データの画像処理などを請け負う事業者は既に不足している状況だ。

 今までなかった仕事も出てきた。例えば、橋梁設計時に3次元データで添架管の干渉具合を調べたいとき、現橋を撮影して精度の高いデータを起こす作業だ。当社はドローンを5台持ち、1台にレーザースキャナーを装備しているが、今のままでは足りないので設備投資を予定している。

 ―人材確保でベトナム人を採用したと聞いた。

 グループ参入とは別の話だが、4月に27歳と30歳の2人を正社員として採用した。本国にある専門の大学で学んだ高度人材だ。設計補助として現場に出てもらっている。人柄は真面目、実直で優秀。勉強熱心で言葉の壁を乗り越えて頑張っている。CADを扱うスピードがとても速く、社員たちが驚いているほどだ。今後の活躍に期待している。

 菊谷義統(きくや・よしむね)1976年10月29日生まれ。伊達市出身。日大理工学部中退。2001年に入社し、04年から社長。菊谷秀吉伊達市長の長男。

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