▼きのうの地震には少なからず肝を冷やした。札幌市中央区の本社にいたが昼休みのため気を緩めていた。そんなところに突然鳴り響いた緊急地震速報である。直後に大きな揺れが来た。何もできぬまま、ただ揺れが収まるのを待った。震源は浦河沖約50km、マグニチュードは6・7だったという。札幌は震度4だったが、函館市、浦河町、様似町、新冠町、東通村(青森県)では震度5弱を記録したという。
▼釧路支社で勤務していた時、釧路沖地震(1993年)と北海道東方沖地震(94年)を相次いで経験した。どちらも震度6である。そんな大きな地震は初めてだったから、ひどく動揺したことを思い出す。特に釧路沖は縦揺れが激しく、慌てて外からアパートの部屋に戻ると、大型の重いテレビが吹っ飛び、ストーブの上のやかんはひっくり返って水浸し、本棚の本も散乱していた。偶然外で作業していたためけがはしなかったが、部屋で横になっていたらと思うと今でもぞっとする。
▼当時は発生翌日から被災状況の取材で管内を飛び回った。液状化でマンホールが1m以上浮き上がった風景をご記憶の人もいよう。道路は分断され、港湾施設や河川堤防も亀裂が入って危険な状態。関係官庁や建設業者が、昼夜を分かたず復旧に奔走している姿も見た。今月17日は阪神淡路大震災から21年目だ。3月11日は東日本大震災から5年目である。どれだけ教訓は生かされているだろうか。今回、大きな被害はないようで幸いだったが、備えの大切さをいま一度肝に銘じたい。