北海道・モンゴル経済交流

北海道・モンゴル経済交流(2)

2017年10月19日 10時13分

親日アピール、投資促す

 北海道企業は寒冷地技術など紹介

 モンゴル外務省で行われたビジネスフォーラムでの2番手は、冷凍冷蔵施設や冷暖房、空調、換気設備の設計・施工を行う五島冷熱(本社・札幌)だ。五島秀社長はことし3月からモンゴル人の技術研修生を受け入れていることを明かし「(研修生は)両親に一生懸命、仕送りをしている。日本の古き良き時代をほうふつさせるこの姿に、モンゴルの未来が見える」と、モンゴル人の積極的な受け入れをアピールした。

 ミッションの旅全般を準備したJTB北海道も営業担当部長の河本尚氏が、地域ごとに会社を設立しているJTBを説明。北海道法人は「北海道とモンゴル間の観光など経済交流の促進を担いたい」とあいさつ。モンゴルの国営航空会社MIAT(ミアット)モンゴル航空とチャーター便の交渉を進める考えを明かした。

 積水化学北海道、昭和マテリアルなど空知の企業や道立総合研究機構などでつくる空知エコ普及環づくり協議会のプロジェクトマネージャー井出清貴氏は、2013年からJICA支援事業として取り組んできたハウス栽培技術を紹介。地中に埋めた伝熱管に外気を取り込み熱交換して送風、栽培ハウスの中の気温をプラスに保つシステムで、5月から9月にしかできなかった農産物が3月から11月にも栽培できるようになると「役立つ事業」をアピールした。

英字紙UBポストにも取り上げられた

経済ミッションは地元メディアに大きく報じられた
(写真は英字紙UBポスト)

 日本都市設計(本社・札幌)の武部幸紀社長は、積雪寒冷地における高い設計技術を持つ同社の設計事例を多彩に紹介。モンゴルの設計事務所との協業、積雪寒冷地の設計提案、若手技術者の育成を挙げてモンゴルの設計事務所に呼び掛けた。

 浸水性コンクリートで豊富な実績を持つ北海道ポラコン(本社・札幌)の中島康成副社長は、コンクリート、アスファルトで覆われた日本の街中でゲリラ豪雨が発生し水害が起きている現状を指摘。地下浸透がモンゴル社会の課題となっていくなら、解決策を研究していきたいとPRした。

 札幌の老舗スーパーマーケットである丸イ山本商店の山本兼靖専務は、生鮮食品を中心に酒類も扱っていることから、モンゴルのウオッカを日本で販売したいと表明。モンゴル企業に「声を掛けてほしい」と呼び掛けた。

 住宅基礎、マンション躯体、型枠を手掛けるワーケン(本社・札幌)の三浦正勝社長は、日本では精度の高い技術が求められることや、札幌市の除排雪も請け負っていることを紹介。ベトナム人を雇用して技術指導を行い、技術をベトナムに持ち帰ってもらっていることも明かし、「モンゴルとも交流できれば」と訴えた。

 企業紹介終了後には、モンゴル国外務省国際交流経済投資局長のB・エンフボルド氏が「モンゴル日本貿易投資環境」と題してスピーチした。

 この中で同局長は、低迷が続くモンゴル経済を分析。11年のピークからは減少したが、16年から再び投資が増えていると指摘。しかし「投資家のクレーム処理に努力しなければならない」とも述べ、投資家からの信用回復を課題として挙げた。

 同局長の説明によると、モンゴルは鉱山や畜産業が中心で55%を対外貿易に依存。内陸の国であるため港までの鉄道や自動車道の整備が進む。特にロシアのシベリアや中国の内モンゴルへの輸出には自動車道の整備が必要だとの認識を示す一方で、「日本、特に北海道は気候が似ており、カシミヤなどの輸出に期待したい」と話した。

 観光面では「直行便のチャーター便を飛ばしたい」とも表明。大陸風が強い土地での栽培農業や再生可能エネルギーといった分野にも強い関心を示していた。最後に「われわれは親日的だ」と日本からのさらなる投資に期待をにじませた。

2017年10月18日掲載


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