働き方改革に向かって 札幌市内3社の挑戦

 建設業は多くの企業で高齢化や担い手不足などの課題を抱え、就業者数に占める女性の割合も2割程度にとどまる。

 女性の活躍推進や働きやすい環境の整備が急務となる中、札幌市内では女性活躍に向けた働き方改革のサポート事業に建設業、関連業から計3社が参加。半年間にわたり自社の課題洗い出しや労働環境の改善に励んだ各社の姿を取材した。(建設・行政部 寺岡 美貴記者)

働き方改革に向かって 札幌市内3社の挑戦(上)

2020年04月13日 18時00分

課題洗い出し、労働環境改善に励む

 サポート事業は、札幌市と札幌商工会議所が実施する「女性活躍推進に向けた働き方改革ロールモデルづくり」の一環。2019年度は市内の中小企業10社が参加し、半年間、専門家によるコンサルティング支援を受け、働き方改革を進めた。

意思疎通図りやすい職場へ 井上技研

 建物の新築や改修を主とする井上技研は、会社全体で、女性施工管理技術者のロールモデルづくりを目指した。

事例報告会で取り組みを共有した

 同社は12年から女性視点の企業理念を打ち出し、主にハード面の整備を進めてきた。主導する犬嶋ユカリ専務は「会社の良い部分も悪い部分も自分では見えづらい。専門家による外の視点は重要」と取り組みを振り返る。

 専門家による面談やグループワークを通して「他の社員がどんな仕事をしているかが見えない」「コミュニケーションが不足している」「若手の悩みを知りたい」などの課題が浮き彫りになった。

 このため、日報・週報をグループメールで社員全体に共有する仕組みを構築。どんな仕事をしているか「見える化」することで、社員同士のコミュニケーションの取りやすさにつなげた。

 文字として書き出すことで頭の中の整理ができ「上司に質問するときに、分からないところを伝えやすくなったのでは」と犬嶋専務。毎日の振り返りを通して、今後のビジョンを考えやすい雰囲気につながったと考えている。

 代休・有休カレンダーも作成。いつ休むかを自ら声掛けし、休暇を取得しやすい雰囲気づくりを徹底した。若手社員が気を使わないよう上司に休みを取らせることを意識した。

 採用活動では、専門家によるブランディングで自社の良さを洗い出し、求人に反映。中途1人を新たに採用することができた。

 将来的に女性社員を半数まで引き上げるという目標を掲げる同社。専門家との連携をさらに強め、取り組みを続ける考えだ。

(北海道建設新聞2020年4月8日付12面より)


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