改築事業を着実に執行

西田健一氏
―就任の抱負を。
下水道事業というのは、都市に必要不可欠なライフラインで、いっときも休止することができない。老朽化施設の急増、集中豪雨、大規模地震などへの対策も求められるが、使用料減収や経験豊富な職員の減少で厳しさはますます増していく。
こうした中でも、しっかり対応し、持続可能な下水道事業を維持することで、先人たちが築いてきた下水道を次世代につないでいきたい。
老朽化対策などの事業を進めるに当たっては、市民の理解が必要不可欠であるため、積極的な情報発信にも取り組む。
―次期下水道ビジョンへの展望は。
下水道ビジョン2030では、今後10年間の方向性を体系的に決めているが、老朽化施設、自然災害、経営環境への対応という3点がポイントとなる。新たな取り組みとしては、処理施設の土木・建築構造物の再構築計画策定に着手するほか、内水ハザードマップの提供を進める考えで、次期ビジョンの策定、公表は8月ごろとなる見通しだ。
―管路・処理施設の老朽更新の状況は。
標準耐用年数の50年を超えた管路は2018年度末では全体の8%にとどまっているものの、20年後には約76%に達する。また、処理施設の水再生プラザは、最も古い施設が50年を超えるなど今後老朽化施設が急増する。こうした状況を勘案し、市下水道改築基本方針に基づき改築事業を進めている。
―今後の事業はどのように進めていくか。
処理施設全体を対象に再構築計画を策定し、事業に取り掛かる。将来の人口減少を踏まえ、ダウンサイジング、統廃合といった施設規模の適正化も図っていきたい。
老朽化施設の急増で、施設損壊による下水道の機能停止や、道路陥没の増加など市民生活への悪影響が懸念される。こうした事態を未然に防ぐために改築事業を着実に執行していく。
―建設業界へのメッセージを。
業界も新型コロナウイルスの拡大防止対策で大変な時期かと思う。このような状況下でも工事に支障は出ていない。これも建設業者の協力があってのこと。
将来の事業展開、事業量の見通しを情報発信することが大切と考えている。次期ビジョン、中期経営プランでは、管路と施設の施策ごとに毎年度の具体的な事業費、事業量を掲載する予定だ。
西田健一氏(にしだ・けんいち)1961年10月15日生まれ。北大法学部を卒業し、84年に入庁。市民まちづくり局総合交通計画部公共交通担当部長、観光文化局スポーツ部長、人事委員会事務局長などを歴任した。17年度からは豊平区長を務め、ことし4月から現職。趣味はスポーツ観戦やカラオケで、新型コロナウイルスが収束したらまた楽しみたいと話す。
(北海道建設新聞2020年7月1日付20面より)