観光復活が重要な使命
―就任の抱負を。
観光業は札幌市の基幹産業。新設ポストということで、その重要な職責にあらためて身が引き締まる思い。一方、新型コロナウイルス感染症の影響で夏の大型イベントも中止となり、観光にとってはなかなか難しい時期だと感じている。日本全国で訪日外国人が大幅に減少し、市内でも5月の大型連休の人出が大幅に落ち込んだ。非常に厳しい状況だ。
―札幌市の産業についてどう見ているか。
人口が197万人に達し非常に人口が多い都市で、産業もあるが他の政令市と比べてものづくりや経済の足腰の力強さに欠ける。一方で、北海道の素晴らしい自然環境や食材の宝庫という点を生かした観光業が基盤となっている強みがある。
―基幹産業の観光業では新型コロナで大きな影響が出ているが。
新型コロナは人と人との接触が駄目なので、観光産業は難しいところ。次の感染の波が来てしまうと余計に冷え込んでしまう。まずは感染防止に取り組むことが大切。収束状況を見極めながら観光分野の復活を目指すことが必要で、重要な使命だと認識している。
今回、新型コロナで学んだことは、インバウンドと国内客のどちらかだけでは駄目だということ。国内観光で札幌を選んでもらうことも必要になる。
―新MICE施設整備については。
2020年度は実施設計の確認や検証を進める。総合的に大きなMICEを扱える施設は重要で、場所も中島公園なので非常に利用しやすい場所だ。芸術や歴史を感じる中島公園周辺に、学術分野などの集客交流の中心となる施設ができることの意義は大きい。
―20年度の主要事業は。
新MICE施設整備に加え、定山渓の魅力向上、都市型スノーリゾートシティを目指した計画作りを推進する。定山渓ではトイレや二見公園など市有施設の整備を含めて力を入れていく。
スノーリゾートシティ関連は市内6カ所のスキー場で構成する協議会において、スキー場の魅力向上などに向けた計画作りを進める。それぞれの個性があるのでうまく打ち出していきたい。インバウンドの回復には時間がかかるかもしれないが、来てもらえるよう今から準備していく。新型コロナの影響もあるため、状況を見ながら柔軟に取り組んでいくことが求められるだろう。
(おわり)
芝井静男氏(しばい・しずお)1965年6月12日生まれ。90年3月北大経済学部卒業後、同4月に入庁。市民文化局市民生活部長を経て、前職はまちづくり政策局政策企画部長。4月から現職に就いた。財政や企画部門での経験が長く、市全体を見渡してきた経験を観光分野にも生かす。
(北海道建設新聞2020年7月2日付12面より)