都心再生

 1972年の冬季五輪に合わせて完成した札幌都心部のビルが更新期を迎えている。10年後の北海道新幹線札幌開業を見据え、行政は規制緩和で開発を促し、民間事業者はにぎわいを生む新たな施設を思い描く。進み始めた都心再生。札幌駅前、大通、ススキノ・中島公園の市内都心部各地区の再開発動向を追った。(3回連載します)

都心再生(下)ススキノ・中島公園地区 コロナ直撃、再検討へ

2021年05月13日 13時00分

札幌パークホテルとMICE施設

 来道するインバウンドの増加に合わせて、ホテル開発の勢いが増したススキノと中島公園の両地区。札幌都心部としては土地の価格が手頃で遊休地も多いことから不動産投資が集中したが、状況は一変。老朽化施設の更新・開発の動きが始まった矢先にコロナ禍が直撃した。にぎわいを創出し、投資を後押ししてきた観光客が消えたことで、大型計画も立ち止まらざるを得ない状況に陥っている。

インバウンドの減少などコロナ禍で大きな影響を受けているススキノ地区

 老朽化により建て替える札幌パークホテルと、MICE施設の整備を一体的に計画する札幌市は、コロナ禍で需要の見通しが立たないことから再検討する方針を表明した。同ホテルを所有・運営するサンケイビル(本社・東京)とグランビスタホテル&リゾート(同)もスケジュールを再検証する必要性を認識。市と2023年3月までに事業実施の可否を判断する覚書を交わした。

 当初は敷地の北側に新ホテル棟、南側に地下2地上5階、延べ3万2400m²のMICE施設を計画。ホテルブランドは国際的に有名なヒルトン(本社・米国)が名乗りを上げ、海外観光客の集客増につなげる考えだった。

 市は今後、アフターコロナのMICE需要を探るため、コンベンションの市場動向を調査する。結果次第では計画縮小も視野に入れている。

 札幌パークホテル建て替えの見直しは、周辺の開発にも影響を及ぼした。道路を挟んで東側にあるキリンビール園跡地を取得した積水ハウス(本社・大阪)のホテル計画もその一つだ。

 関係者によると、世界有数のホテルチェーンであるマリオット・インターナショナルによるブランドが検討されているという。4月の着工を目指していたが、「コロナ禍や札幌パークホテルに関する計画の遅れなどを受けて延期した」と明かす。

不動産開発の芽は消えず

 インバウンド回復のめどは立たないが、不動産開発の芽は消えていない。アルファコート(本社・札幌)はススキノ地区でホテル新築に着工した。運営は大手鉄道会社の相鉄ホールディングス(本社・横浜)が担い、道内初となるホテルブランド「フレッサイン」を出店する。

 コロナ禍にもかかわらず、開発に踏み切ったアルファコートの川村裕二社長は「相鉄HDが22年の竣工時にはある程度コロナ禍が収束し、運営が成り立つとの見通しを立てたことから決めた」と説明。さらに同地区のススキノラフィラがシネマコンプレックスやホテルを有する複合施設に生まれ変わることを受け、「昼の時間もにぎわい、ススキノの街並みは変わるだろう」と相乗効果を期待する。

 中島公園地区では、保険・資産運用を手掛けるフランスのアクサグループがヤマハセンター跡地を取得。高級ホテルやオフィス機能を備えた複合ビル新築を見込み、周辺の個人所有地取得など建設に向けた動きを続けている。

 市内の不動産事業者も注目していて、「札幌パークホテル、積水ハウス、アクサの計画が動けば、中小デベロッパーにも波及し、地区全体が活性化するのでは」といった声が聞こえる。

 札幌冬季五輪から半世紀を目前に当時の建物の多くは更新時期にある。22年に市制施行100年を迎える市は、都心部開発を札幌の魅力を高める重要な取り組みと位置付け、次期まちづくり戦略ビジョンの策定を急ぐ。新たなまちの将来像を早期に示すことが〝都心再生〟への原動力となり、先の見えない不確実な靄(もや)の向こうに道都の未来を映し出す。

(この連載は武山勝宣、佐藤朋紀、宮崎嵩大が担当しました)

(北海道建設新聞2021年5月12日付12面より)


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