釧根で輝く女性たち

 女性の社会進出が叫ばれて久しいが、過酷な自然環境下で力仕事を伴うことが多い建設関連産業は、いまだ男性中心の職場から脱しきれていないのも事実。それでも以前に比べれば現場への女性専用トイレや更衣室設置などが進み、受け入れ環境は整いつつある。

 釧根管内で活躍する女性技術者・技能者たちに、この道に入ったきっかけや会社の対応、要望などを聞いた。

釧根で輝く女性たち(3) 小針土建 大坪彩美さん

2019年11月13日 18時00分

将来の夢は橋梁の現場監督

 小さい頃から橋に興味を持っていた大坪彩美さんは、兄の影響で同じ釧路工高土木科に進んだ。インターンシップでは、小針土建(本社・中標津、小針武志社長)が施工する道横断道桜田大橋の現場を訪問。このときの雰囲気や優しく接してくれた同社の社員に好感を持ち、「一緒に働いてみたい」と思ったことが今春の入社につながった。

大坪彩美さん

 会社では土木本部とICTチームに所属。これまでさまざまな現場を回り写真撮影や清掃などを経験してきた。9月中旬から10月末までは釧路開建から受注した44号根室市穂香西改良の現場に出張中。ホテル住まいをしながら、来春開通予定の根室道路完成に向けて測量などの作業に当たっている。

 「お客さん」だったインターンシップと違い、周囲とは自らコミュニケーションを取らなければならない。初めのうちは「手伝うことはありませんか」と積極的に声を掛け、自分に何ができるかを考えていた。

 穂香西改良の現場では、初めての足場作業に恐怖を感じたり、重機との距離感を先輩たちに教えてもらったりしながら感覚を磨く日々。「先輩たちは重い測量機械を軽々と運ぶのに、自分は何回にも分けないといけない」と腕力面でのハンディキャップも感じているが、「いろいろ手伝っているうちに、どういうときに何をすればいいのかが分かってくるのが今のやりがい。下請けの人たちとも気軽に会話できるようになり、現場で動いているときが楽しい」と話す。

 林聖次執行役員工事部長によれば、同社に寮はあったものの男性ばかりだったため、初の女性技術者採用に当たり中標津町内にアパートを借り上げたという。「彼女は男ばかりの社会で臆することなくコミュニケーションが取れている。女性ならではの視点を生かし、社内での先駆者になってほしい」と期待する。

 プライベートでは、中標津の団体に所属しイベントで太鼓や笛の演奏をしているほか、社内の有志とプロアイスホッケーチーム・ひがし北海道クレインズの応援に行くなど行動派だ。

 将来の夢は現場監督。「とにかく仕事を覚え、資格を取って、早く夢をかなえたい。いつかは橋梁を手掛けてみたい」と意気込んでいる。

取材メモ

 日々、周囲に助けられていると感謝する大坪さんだが「女同士でしかできない話もある。女性も働けるという認識を持ってこの世界に飛び込んできてほしい。一緒に活躍できれば」と後輩の登場を願っている。

 大坪彩美さん(おおつぼ・あやみ)2000年7月24日、旧静内町生まれ、釧路町育ち、釧路工高土木科卒。

(北海道建設新聞2019年10月25日付9面より)


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